幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

目的は何?出資法上限金利引下げ問題について。

4月21日 読売新聞より

消費者金融に対する規制のあり方に関する金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」は21日、消費者金融が利息制限法の上限金利(年15~20%)を上回る高い金利で貸し出しても刑罰に問われない「グレーゾーン(灰色)金利」の廃止で大筋合意したとする中間整理をまとめた。
 懇談会は6月までに最終提言する。与党は提言を踏まえて関連法の改正案をまとめ、今秋の国会に提出する見通しだ。
 ただ、消費者金融業界は上限金利引き下げに強く反対しており、与党内の調整が難航することも予想される。

アイフルへの営業停止処分から、このグレーゾーン廃止(=出資法上限金利引下げ)まで、何か政治的駆け引きがあるように感じています。

アイフルの取立て行為が、テレビでもテープで録音されたものが放送されることが多かったので私も何回か耳にしましたが、あの手のものは前後切られちゃうと正しく判断出来ないものです。あの部分だけ切り取って聞けば確かにきついですが、それまでに債務者側が強引でしらばっくれていて、貸金業者の担当が頭に来て声を荒げたところだけ公開している可能性も否めません。更に、貸金業規制法違反となる会社に電話をしたり配偶者に支払を依頼したことを云々されていますが、長期延滞者で悪質な奴は、法の規定を逆手にとって、夜21時前には家に帰らない・自宅ではまったく電話に出ない・・・等の請求逃れを平気で行う連中が、沢山いるんです。自宅にいるのにわざと留守電にしておいて、21時前には相手がメッセージを残してから出るとか、ひどい奴は掛けた電話番号を手当たり次第に着信拒否するツワモノも居て、私も本当に手を焼きました。なぜそんなに腹が立つかと言うと、払わない奴の利息は、ちゃんと払っている人が負担することになるからです。そして、実際に返済困難の度合いと返済行動とはリンクしていないことが多いです。変に支払拒否する奴は、それだけゆとりがある場合が多いですね。本当に返済に困っているのなら、ちゃんと対応してくれる人のほうが多かったように思います。

まあ、世の中はちょっと被害者面すれば、こういうきな臭い話に飛びつく偽善者達には事欠きませんので、一方的に貸金業者が悪いと言われているのでしょう。

おまけに与謝野金融相って、真正の偽善者ですね。あのような血筋のよろしい方には、金貸しにお金を借りる人生なんて想像も付かないのでしょうが、せめて世の中の善悪は誤らないでもらいたいものです。“一罰百戒”“違法収益没収”なんて、ずいぶん極端な物言いをしていますが、借りた金を踏み倒す人に正義はないでしょう?違法行為とは言いますが、その違法行為を助長しているのは他ならぬ借主である場合も多く、強引な取立てのように見えますが、あの程度で“強引”と言うのは債務者側に甘すぎでしょう。取立やってる側のほうがもっと酷いこと言われますよ、債務者から。実際に回収をおやりになると良い。どれだけ法律で縛られることが悔しいか、分かりますよ。

アイフルは、確かにキツメの物言いをする担当者が多いという業界での評判ではあります。それと成果主義がリンクして、担当者が功を焦って強引な取立をした側面も否定出来ません。でも私はどっちかというと、ちょっと穿った見方をしてしまうんです。

以前に出資法上限金利が引き下げになったときにも、自民党商工ローン問題から目をそらす為にこの解決を金利引下げで誤魔化しました。今回もこの問題を持ち出したのは、何か誤魔化そうという魂胆が見え隠れしているような気がしてならないんです。

商工ローン問題の時に自民党は、貸金業規制法制定時に定めた出資法上限金利40.004%を無理やり現在の29.2%まで引き下げて問題に“対応した”ことにしてしまいました。この29.2%は政治的妥協の産物で、何の根拠もありません。金利引下げで商工ローン問題が解決した訳ではないですし、ただ引き下げれば良いんでしょうね。仕事をしているように見えますので。それに比べると以前の40.004%はちゃんとした理由がありました。

参考リンク: http://www.waseda.jp/prj-ircfs/pdf/ircfs03-002.pdf

利息制限法は上限20%(元本10万円以下)と思われている方が多いと思いますが、そうではないんです。前述の商工ローン問題前の利息制限法は、附則で“延滞した場合に、倍の利息を請求できる”規定があったんです。つまり、20%+20%で実質的に40%の金利が利息制限法上有効とされていました。しかし出資法上限が29.2%に下がると、延滞時の利息制限法(40%)が上回ることになるので、このときに「こそっと」この利息制限法の附則を削除してしまっているんです。貸金業者の経営面を考慮し資金需要者の利益に応え、かつ、利息制限法の上限をすこし上回るこの40.004%は、貸金業者の利息計算方法で主流の日歩計算で表示可能な40%を超えた数字の一番下のものでした。

金利は誰だって低いほうが良いに決まっています。でも、それが“原価割れ”したらどうなりますか?物販なら販売業者が居なくなり、物が買えなくなります。貸金業者が居なくなれば、ヤミが増えるんです。

http://www.toben.or.jp/news/opinion/2005/05110702.html

東京弁護士会の意見書。弁護士のくせに意見にまったく客観性がありません。「この結果が不合理であることは誰の目にも明らかである」「ヤミ金融対策法により取り締まりが強化されたことによるものであることは疑いの余地がない」「以上により、出資法上限金利の引き下げとヤミ金融被害の問題とは全く無関係であり、それは理論的にも科学的・統計的にも根拠のない主張である」→何で?が説明ありませんし、データも提示されていません。貸金業者がデータを用いて客観的に主張していることを否定して見せていますが、強引な決め付けだけで何のデータも示していないのは幻滅します。本当に弁護士なんでしょうかね?貸金業者がお嫌いなのは分かりますが、それでは法を司る資格は無いですね。

昭和58年の貸金業規制法公布から、襟を正して取り組んできた真面目な業者は、今、商売として成立出来ない貸金業に見切りをつけ、殆どの中規模以下の業者は廃業しています。大手・銀行系の寡占状態とも言える市場から、今度は大手や信販会社への退場宣告にも繋がる金利の引き下げを、与謝野はやろうとしています。

 私は以前のエントリーでも触れましたが、多重債務者の問題解決には金利引き下げより信用情報の整備だと考えています。金利引下げを主張する連中がずるいのは、金利だけクローズアップして元金の話を一切しないことです。元金が30万円で、29.2%では月間いくらの利息でしょうか?7,200円の利息となりますが、皆さんは果たして「高い」と思われますか?Excelで私が金貸しだった頃の支店のコスト試算表を作ってみましたので、興味のある人はやってみてください。40.004%で利益は出ますが29.2%では赤字です。経費は標準的な概算を入力しています。社員は2名と支店長1名の想定です。

 http://sund1.sakura.ne.jp/uploader/source/up9036.xxx(クリックするとダイアログが表示されます。Excelファイルをダウンロードしてご覧になってください)