幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

労働の暗黒。

偽装請負」労働が製造業で横行 実質派遣、簡単にクビ(朝日新聞)

http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060731/K2006073004280.html

http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060731/K2006073004320.html

雇用率全体は改善しているようですが、実際の求人は、製造業を中心にいまや欠かせない雇用形態となっている「業務請負」が中心で、実質的に割を食っているのは相変わらず一般庶民という図式です。

私の、このブログを立ち上げたばかりの頃のエントリーでもこの問題を取り上げましたが、実態は悪化の一途のようですね。

搾取を行う請負会社が悪いと言えば悪いですが、便利に使う大企業も悪いですし、そんな会社で働いて満足してしまうことも悪いと思いませんか?
それは確かに、他に仕事がないという事実もあるでしょう。実際、私も故郷へUターンを考えて暫く仕事を探していましたが、金沢ではまったく仕事が無かったです。手っ取り早く仕事にありつけると言えば、こういった業務請負の会社で単純労働を行うか、もしくは完全歩合制のセールスで怪しげなものを善良な人々に売りつける仕事しかありませんでしたし。

製造業は国の活力の源泉です。それには私も異存はありません。ただしかし、それを支える人々の報酬体系が、中間搾取ばかりではおかしいでしょう?
一生懸命働いても、寮費という名目で一部を抜かれ、雇用保険・健康保険の義務化の名の下に少ない収入から天引きされ、大元の雇用主の大企業からは請負会社が競争入札で請負料を引き下げられ・・・実際に働く労働者には努力しても報われるものが何も存在しない、異様な労働体系が生み出されているのが、今の日本の現実です。

元々は大企業が労務管理上のコスト増加に嫌気が差したことが元凶です。勤怠管理や労働保険関連の手続きをコスト換算し、より安価に分かりやすく出来る“アウトソーシング”に走ってしまった事も、理解出来ない訳ではありません。「コスト削減」という名の下には、こういった業務効率向上も、ある一定のメリットがあることも事実です。
しかし企業もコスト一辺倒ではなく、同じ対価を払うんだったらより多く実際に労働者に還元できることを重点には考えられないのでしょうか?ここら辺にもアメリカ型の効率至上主義が蔓延しているようで、私は不快でなりません。

安易に請負業者を使っている企業にも、労働者が努力しない・モラルが低くなる・技術力が上がらない等の弊害が出ています。トヨタみたいな完全なる品質を誇った企業でもリコールが相次いでいるのは、こういった請負労働者の増加による現場レベルの低下が一番の原因ではないですか?
現場の人間だって、努力しても報われなければ努力するはずがありません。一生懸命やる人間と、出稼ぎのような外国人労働力が同じ条件で雇用されれば、みんなモラルが消えて当然です。ライン労働とは言え、単純作業の中にも業務改善の芽は存在していますし、本当に国が強くなれるのは細かい手作業からどれだけのものを生み出せるかにかかっていると、私は思うんです。ライブドア村上ファンドの影響で、一時よりは“相場的に金を稼ぐこと”に対する憧れは減ったでしょうが、本当に価値があるのはそんなことで金を稼ぐことではありません。人間の進歩の元は、新しくモノを創造していくことにあります。決してマネーゲームで人類が進歩していく訳では無いんです。

業務請負は、結局それを便利に使う大企業ですら、自分の首を絞めることになると思います。一体いつそれに気づいて請負労働者を使わなくなるんでしょうかね?
私は早くしないと、日本全体が沈んでしまうような気がしてなりません。