幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

人材沈没。

今週になって、海浜幕張が妙に混んでいると思ったら、これでした。

「CEATEC JAPAN2006」http://www.ceatec.com/2006/ja/visitor/

 
“アジア最大級の規模を誇る映像・情報・通信の国際展示会”だそうです。
シーテックって展示会、行った事もありますし、仕事で出展社になったこともあるんですけど、一体何のための展示会かは、良く考えていませんでした(笑)
このシーテックは出展社の幅が広くて、例えばネットワーク関連だけとか、オーディオビジュアル関連だけとかではなく、エレクトロニクス技術の関連した業界であれば、何でも出展されますので、普通に見るのは“色々あって面白い”ですし、“これが見たい”とターゲットを絞れてる人も、必ず興味のあるもの・見たいものが見つかると思います。
ただ、私みたいに情報も絞りきれてなく、漠然と新しい情報探りに行くだけでは、どこから何を見たら良いのか戸惑ってしまう規模ではありますね。

そんな中で、一般消費者向けで感心の高そうなもののトップは、これだと思います。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/solution/news/20061004org00m300068000c.html
“次世代DVD”ということで、松下-ソニー連合のブルーレイと、東芝陣営のHD-DVDの二つの方式の新製品がシーテックでも出品されています。
未だに自宅にHDD-DVDレコーダーも無い私ですが(パソコン使ってDVDに録画してます・・・)、テレビ放送のハイビジョン化など情報量の拡大に対応する為には、現在のDVDディスクの容量でも足りないという事で、これらの新しい技術が出てきたのですが、この二つの方式で争うのって、いつになったら止められるんですかね?今回の次世代DVDも、当初はこれら両陣営が統合の方向で話し合いをしていましたが、結局は双方の利点のみ主張しビデオ、レーザーディスクに続いてこのDVDまで方式が別れてしまうことになりました。せめて互換性でも持たせてくれれば良いですけど、メーカーとしては新しいハードを買わせたいのが本音でしょうから、そういう方向には行かないでしょう。
でも、ビデオの時代と比べると、圧倒的にハードの価格が下がっているので、極論すればHD-DVDもブルーレイも、必要なら自宅に両方揃えちゃうこともそんなに困難なことではなくなってはいますけど。

今回は、この二つの方式の優劣を考える、などということではなくて、ブルーレイ陣営のソニーさんから、技術力低下のことについて考えたいと思います。


同じブルーレイ陣営でも、松下はこの冬の商戦に向けて2層記録の製品化の目処が立っているのに、ソニーは今冬の投入を断念しています。「2層記録の安定性を十分検証できなかった」ソニーの西谷清テレビ・ビデオ事業副本部長談)との事ですが、ブルーレイ方式のメリットがこの2層記録による大容量であるのに、それが使えない製品を世に送り出すなんて、ソニーのイメージ悪化は避けられません。松下は同じ方式で、ちゃんと製品化の目処を立てているのですから。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/solution/news/20061005org00m300057000c.html
ソニーと言えば、完成品も有名ですが、実は内部のデバイス(主要部品)供給でも多くのメーカーへ提供しており、ソニーの製品は1社だけの影響ではとどまらないくらい、非常に大きな力を持っています。昨年はデジカメの主要部品であるCCDの製造工程で問題があったことが発覚し、日本の主要メーカーのデジカメで故障が続出してしまいましたし、最近ではノートパソコンのバッテリーが発火を起こすなど、これもまた製造工程の管理の問題で商品に不具合を発生させ、デル、アップル、IBM、東芝など多くのメーカーの製品が、部品交換を余儀なくされています。

現在の日本企業は、ソニーに限らず以前ほどの技術力も無ければ開発能力も無くなってしまいました。有能な人材が国外へ出て行ってしまうことも一因ではありますが、一番は製造現場の能力低下が原因だと、私は考えています。
私の勤めている会社もそうなのであまり大きな声では言えませんが、どう考えても派遣雇用・契約社員など非正社員の増加が、社内のモラールダウンと技術伝承を阻害しているように、感じます。

「人材沈没」日経ビジネス http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/index.html

“リストラ”って言葉が、バブルがはじけたあと流行りましたが、その流れで何でもコスト削減することが会社経営の一番の良策であるような風潮が大勢を得てしまい、必要なコストとは思いつつも、人材育成や人件費へコストをかける企業が減って来ている影響が、こうやって製造現場の能力低下として、現れているのではないでしょうか?育成しないだけならまだしも、製造現場で単純工程に携わるからと言って、簡単に請負業者へ任せたり丸投げしたりしてしまえば、どんなに努力しても報われることが無くなってしまいます。それもこれも人件費を単なる“コスト”としか見ない風潮が招いた結果ですが。


ソニーに限らず、ここのところ日本製品のリコールや製造・設計上の不具合が、目に見えて増加の一途を辿っています。開発競争が熾烈であることは認めますが、それ以上に製造現場の能力低下による影響のほうが、大きいでしょう。

その一つの表れとして、このページに掲載されるリコール情報が、本当に増えて来ています。
http://www.kokusen.go.jp/recall/index.html国民生活センター:回収・無償修理)

かつては日本製品の信頼度も、非常に高いものがありましたが、今ではちょっと「?」の製品も多いですね。シーテックのような展示会で、先端の技術を見ることはワクワクしますが、技術をきちんと商品として供給するには、開発者だけではなく、“現場力”も絶対に必要だと、思うのです。


「Japan as No.1」なんて、もう遠い昔の話になっちゃいましたね。