幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

“プライバシー”って、何ですか?。

どうも個人情報保護法などという法律が施行されてから、“プライバシー”が一人歩きしているように感じます。必要以上にプライバシー保護に敏感になりすぎて、本当の目的や、守らなければならないものがないがしろにされそうで、心配になります。

去る12月11日に、住基ネットプライバシー権に関する判決が、名古屋地裁金沢支部でありました。今回の判決は、先の大阪地裁の判決と比較しても、極めて公正かつ妥当な判断だったと私は思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061211-00000002-yom-soci


住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の離脱を認めろ!とか、住基ネットに登録されること自体が“プライバシー権”の侵害だと、騒々しい人達もいらっしゃいますが、果たしてそういう方々は、“個人情報”の定義を何だと考えていらっしゃるのでしょうか?

個人情報とは、「氏名・生年月日・住所・自宅電話番号など、個人を識別・特定可能な情報」を言います。そうすると、プライバシー権が侵害される、という状態は、この個人情報が漏洩したり悪用されたりすることにより、個人の権利や利益が侵害されること・・・になるのでしょうが、一体住基ネットに登録されることだけで、何の権利が侵害されるのでしょうか?

もし、個人情報を勝手に使われた、というだけで“プライバシー権”を主張されるとしたら、それは違います。

日本の個人情報保護法は、「OECDの8原則」に沿った形で作られています。このOECDの8原則では、情報の収集にあたって通知または同意が必要なこと、情報を最新かつ正確な状態に保つこと、収集時に同意を得た目的以外には使用しないこと・・・などが法令上にも規定されております。

OECDの8原則」については、下記リンク先の説明が分かりやすいですね。内容はちょっと古いですが、個人情報保護法施行の背景から、OECDの8原則の趣旨まで説明されています。

http://www.cc.toin.ac.jp/juri/fj01/netuser/kojinjo.html(学校法人 桐蔭学園内のページ)

参考「OECDの8原則」


1. 収集制限の原則
個人データは、適法で公正な手段により、なおかつ情報主体に通知または同意を得て収集されること
2.データ内容の原則
収集するデータは、利用目的に沿ったもので、なおかつ、正確で完全で最新であること
3.目的明確化の原則
収集目的を明確にし、データ利用は収集目的に合致すること
4.利用制限の原則
データ主体の同意がある場合や法律の規定による場合以外は、収集したデータを目的以外に利用しないこと
5.安全保護の原則
合理的安全保護措置により、紛失や破壊、使用、修正、開示などから保護すること
6.公開の原則
データ収集の実施方針等を公開し、データの存在や利用目的、および管理者等を明示すること
7.個人参加の原則
データ主体に対して、自己に関するデータの所在及び内容を確認させ、または異議申立を保証すること
8.責任の原則
データの管理者は諸原則実施の責任を有する

 

でも、このOECDの8原則の言葉尻を捕らえて、勝手な解釈を可能といえば可能なんですよね。住基ネットに登録するだけでプライバシー権の侵害を主張されている方は、「同意した上で情報を登録しているのではない」とか「住民登録の情報を全国で照会可能な状態にするのは、目的外利用にあたる」・・・と言ったところが、論旨になっているのではないでしょうか?

確かに、OECDの8原則においても、収集制限の原則では、“情報主体に通知、または同意を得た”情報以外は収集してはならない、とされています。

しかし、住基ネットでの登録について考えてみますと、通知は充分に行われていますし(住民登録をしない人はいないでしょうから)、目的も明確化されていますし、管理も民間企業よりはコストをかけて行われるでしょう。単にその市町村レベルでクローズしていたものが、ネットワークで繋がることのみ取り上げても、それで「プライバシーの侵害」とは言えないのではないでしょうか?

単純に「お役所のずさんな管理では、個人情報が漏洩して危険だから、自分だけは登録しないでくれ」という趣旨で、訴訟に持ち込まれているとすると、これもやっぱり単に個人エゴのように思うんです。

今後、住基ネットの個人情報は、年金などの支払・受給の管理や課税管理、そして住民票移転事務の合理化などに使われるでしょうが、「プライバシー権」が侵害されるような利用は、想定出来ないと思います。但し、情報の漏洩については、システム面や人的面で、絶対にないとは言い切れませんが。

それでも私自身は、社会保障を徹底する為にも、個人の社会保障IDナンバーを作り、それを基に納税から年金まで管理していく形が望ましいと考えています。そのほうがすべてにおいて公平になってくると思うんですね。年金をゴネて払わない人とか、住民登録を虚偽申告して課税を免れるとか、そういった不正の抑止になるのであれば、率先して進めていくべきです。

余談になりますが、私が貸金業時代に審査を行っているときに、こういった社会保障番号があれば、どんなに審査が楽か、などと考えたことがあります。その番号を確認し裏付けさえ取れば、どこの誰か一目瞭然になるのですから、詐欺申し込みを排除するにはもってこいなんですね。

こういった、プライバシー権の主張も結構ですが、そこまでなさるんだったら私は住基ネットから自分だけ離脱する」なんて狡いこと考えないで、みんなで住基ネット登録するんだから、悪用は許さんぞ!(OECDの8原則を遵守させる)と考え方を変えるほうが先だと思うんですけど。

なんだかプライバシーという権利主張に名を借りた、単なる身勝手に見えてしまうのは、私だけでしょうか?