幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

築地市場の再生は。

今日は、初めて東京で大掛かりな道路規制を敷いた“東京マラソン”が行われ、まずまず悪天候だった以外は成功だといえるようですね。

しかし、こっちの問題はいただけません。

築地市場移転、豊洲の土壌汚染やっぱり深刻 (ゲンダイネット)

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/tsukiji/story/18gendainet02030639/

東京都は2012年に、現在の築地市場江東区豊洲の東京ガス工場跡地へ移転する計画を進めています。

東京都発表の、新市場の概要は、以下のとおりです。

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/new_market/01.html

冒頭のゲンダイネットで指摘されたような土壌汚染問題については、東京都は次のようなアナウンスを行っています。

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/faq/answer/5-2-5/5-2-5.html

工場跡地の土壌汚染の対策は、現在の地面の上に高さ2.5メートルの盛土を行って表面を覆い、有害物質の飛散を防止し、さらに地盤面から深さ2メートルまでは、すべて汚染土壌処理基準以下となるよう処理を行うそうです。簡単に言うと、処理といっても汚染されていない土を他から持ってきて2メートル掘り返した分を埋めますよ、ということですね。 これで新市場用地は、地盤面から4.5メートルの深さまでは、土壌汚染が無くなるとの、東京都の説明です。



これに対して、日本環境学会では、ホームページのトップに、この問題を取り上げて、豊洲の新市場予定地の土壌汚染問題に警告を発しています。

http://www.jaes.sakura.ne.jp/

東京ガス豊洲工場跡地は、別に東京ガスが悪い訳ではないのですけれど、ベンゼン、シアン、ヒ素、水銀、鉛、六価クロム等々の有害物質により土壌や地下水が高濃度に汚染されています。おまけにここは、周囲が海に囲まれた埋立地なので、地下水の水位が海抜0m前後と高く、潮の満ち引きにより通常でも2m程度の水位の上下がある上に、地面自体には「毛細管現象」で、水分が上昇する働きもあります。

毛細管現象って、小学校の理科の実験でご経験のある方もいらっしゃると思いますが、水は狭い隙間を伝って上っていく性質があるのです。植物が水分を地面から幹の上まで吸い上げるのが、この毛細管現象を利用していますからね。

要するに、4.5mくらい土壌の処理を行ったくらいでは、水位の上下で汚染物質が簡単に地面の上まで出てくる可能性があるということです。更には、ベンゼン、シアン、水銀などについては、常温でも揮発性があり、ガス化し蒸発しますからいくら土をかぶせたって隙間から染み出してくる可能性があるのです

そう考えると、土壌汚染についての対策は、東京都の説明ではまったく用を成していない、と言えるでしょう。

こう考えてみると、今の築地市場を豊洲に持っていって、「誰が得をするのか」と勘ぐりたくなりますね。一部では東京でオリンピックを開催する際のメディアセンターを築地に設置したい、などという報道もありますが、それならばそっちを豊洲に作ったほうが遥かに簡単だと思いませんか?わざわざ今稼動している市場を無理やり移転させてまで、築地に作る必要がどこにあるのでしょう。

それよりも、東京都の真の狙いは築地の立地と考えるべきでしょう。ここを売り払えば相当の利益が東京都に入ることになるでしょうし、ここを誰が買うかと言えば、現在空前のマンションブームとなっている都心立地のまたとない好物件ですから、もし市場が移転して売りに出されれば、不動産業者が手薬煉引いて待ち構えていることでしょう。

そんなことの為に、市場で扱う食品を汚染させる危険性の高い、豊洲へ移転させてしまって良いのでしょうか?みすみす危険性の高いところへ移転させるくらいなら、築地市場は移転せずに、当初の計画通りリフレッシュ工事を進めれば良いんじゃないですか?既にかなりのお金をつぎ込んで工事も進めていたのですから。