幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

加山雄三通り。

私が音楽へ興味を持ち始めたのは、ビートルズがきっかけではあったのですが、一番最初にレコードを買い込んだり、という行動を始めたのは、加山雄三さんだったのです。

実は、というか知られているようで知られていないことなのですが、加山雄三さんは日本で最初の“シンガー・ソングライター”です。当時はそんな呼び名も無かったほど、日本のポピュラー・ミュージックシーンでは、歌い手と作曲家は分業されていました。加山さんは中学生の頃から作曲をしており、俳優からレコードを出して、その中で自分のオリジナル曲を加えて行くようになって行きました。

加山雄三さんと言えば「君といつまでも」を思い浮かべる人が多いでしょう。最近で言うと「サライ」などもNHKの紅白ではよく歌っているので、イメージされる方も多いと思います。

でも、私が加山さんのアルバムで一番好きなのは、これです。

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加山さんの自叙伝的な内容の曲で構成される、トータルアルバム的な作品です。作詞は名コンビの岩谷時子さんではなく、全曲が松本隆さん。編曲も瀬尾一三さんと、「加山雄三通り」の前に発表した「海・その愛」とはまったく違ったスタッフにより作られています。でも、それが当たったのかも知れません。歌詞も加山さんの心情を汲み取ったもので、過度の創作もないですし、アレンジも歌謡曲の基本ラインから抜け出してはいませんが、抑制の効いた演奏で中々の仕上がりだと、今聴いても思います。
オープニングの「光進丸」は、加山さんの船の名前。光進丸で船出するイメージで、このアルバムの世界へいざなってくれるかのような、やさしい曲です。そこから「スペース・マーメイド」、「インカの財宝」と続いた後、エレキ・サウンド全盛期を思わせるようなインストルメンタルの「七里ガ浜」から最後は「フィジーにおいで」で、A面を締めくくります。
B面最初は、アルバムタイトルにもなっている「加山雄三通り」という曲ですが、実際に茅ヶ崎にはこの通りがあるそうです。私は行ったことはありませんが、昔は「上原謙通り」だったそうで、加山さんのコンサートで、この曲の紹介のときに良く話されていたことですが、やはり時代の流れなんでしょうね。
ここから2曲、若大将映画シリーズの振り返りのような「When I Was 20's」「友よ、また逢おう」と続いた後、夏の去り行く寂しさを歌った「湘南・ひき潮」、最後は詩の内容を見ると、奥さんの元女優・松本めぐみさんに宛てたような「君にありがとう」で、アルバムの最後を締めくくります。
私、この「君にありがとう」って曲が、大好きなんですよ。これ、絶対カラオケじゃ歌えません。途中で涙が出てきちゃいます。
最初にこの曲を聴いた、中学3年生では漠然とした憧れでしたが、こういう心境になれるようなパートナーと巡り会いたいし、私自身もそういう気持ちを持ち続けられるよう、謙虚な気持ちで人生を送りたい、とマセたことを考えておりました。実際の自分の結婚生活は、中々そうは行かないですけど・・・。
このリンクで、試聴が出来ます。(ちょっとだけですけど)
シンガー・ソングライターとしての魅力も充分、そして個人としての「加山雄三」の魅力も感じることの出来る、いいアルバムだと思います。私はスキャンしたCD選書のほかに、LPレコードでも持っていますが、そっちはさすがに1978年の発売ですから、だいぶジャケットが変色してきました。中の音楽は、私の中で色褪せる事はないですけれど。