幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

リコール。

日本国内の、製造現場が悲鳴を上げています。

クルマと言えば、日本車の品質の高さは世界に誇るものがありました。でも今は、そんなことは“昔話”に過ぎません。

自動車業界に限らず、最近の日本の製造業の現場は、委託や請負の労働者ばかりです。平成に入ってからの各企業の管理職(まあ所謂、“団塊の世代”って奴ですね)が、目先のコストダウンに目を奪われ、「現場力」を奪って行きました。

製造現場への請負・派遣の人員の導入は、一時的には劇的なコストダウンの効果をもたらしますが、長期的に見れば現場のスキルをどんどん落とします。労働者の賃金は請負会社・派遣会社の裁量に任せられた結果、労働者はどんなに高い生産性を持っていても賃金に目だった差がなくなってしまう為、皆低いほうのレベルへ流れていったのです。

ラインが派遣や請負で染まる前は、現場に熟練工が居て、初心者のスキルアップに腐心したり、スタッフの配置に労を厭わなかったりと、ライン自体が活力を持っていました。請負や派遣になると、現場のリーダーは居るものの、待遇に差があるわけでもなくただ管理責任だけ増やされますから、労働者のモラールが高まるわけでもなく、定着率も悪化の一途を辿って行きました。

その結果、現在の殆どのメーカーが、ラインの精度が上がらずに苦労しています。製品を発表して何年経っても、同じ製品の精度が上がっていかない、品質が向上していかない、と言う事態を招いています。
日本車の品質が良いなんて話は、もう昔話です。安い賃金の不安定な労働者に、スキルや品質を求めるほうが間違っています。トヨタも日産もホンダも、例外なく品質は落ちています。国土交通省に届けられたリコール件数が、それを如実に物語っています。

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/09/090404_.html

平成12年を境に、国産車と外国車のリコール件数が逆転しています。リコール件数が、10年前の20倍以上の件数に増加しています。この事態を、マスコミは大スポンサーである自動車メーカーに気を遣ってまったく報道しておりませんが。

コストダウンで目先の安い人件費に惹かれて、派遣だ請負だなんてやっているから、肝心の品質が置き去りです。現場力が底を尽き、日本の製造業が衰退する前に、各メーカーの経営者層はそろそろ現場の重要性に気づくべきです。

日本の失われた十年、バブルがはじけた後の時代にこういった長期的な視野を欠いた戦略で、こんなに現場力を奪っていった世代の方々は、いったい責任をどう取ってくれるのでしょう?何食わぬ顔で「あの時はあれが正しかった」などと言い残すだけで、後の世代に負の遺産を残したまま、去ってしまうだけでしょう。

うちの会社も、率先して自社雇用へ切り替える方向へ、進めて行きたいと考えております。現場に力がなければ、日本は衰退してしまいます。

こういう馬鹿なことは、そろそろ止めにしましょう。