幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

ボビーへの評価。

マリーンズブロガーの間でも、賛否両論ある「ボビー采配(起用)」について、私なりの考えをここで記させていただきたいと思います。

私は、監督の評価というのは、成績でも、データを重視した起用の意味合いでもなく、まずは“マネージャーの仕事は何なのか”を考える必要があると思います。

監督になってから日本一になった実績があるとか、Aクラスにいるとかではなく。

データを重視した起用、というのも、データを丹念に調べて行けば誰だってそんなことは出来ます。対戦成績を個人別に引っ張り出して、相性の良い順番に並べていけば良いだけのことです。データを駆使した起用を行うことが優秀な監督だなんて、評価としてはほんの一部の面に過ぎないと、思うんです。

私は、そんなことよりもむしろ、“人心の掌握”が出来るか否か、が、監督にとって最も大切なことだと思うんです。

ここのところ、マリーンズのゲームを見ていても、選手に覇気を感じないんですよ。なんだか無気力に見えてしまう。「努力しても相性が悪かったら起用されないんじゃ、仕方がないや。」「左投手対策も完全なんだけど、俺は左打者だからどうせ起用されないよ。」選手の気持ちが見える訳でも、現場の裏側を知ってる訳でもないですが、私自身のマネージャーとしての経験から言わせてもらえば、今の選手の顔色や仕草からは、完全にマネジメントへの失望が現れています。何しろ、うちの会社の状況にそっくりですから(笑)

データを示して納得して選手がついてきてくれる間は良いです。でも、人間にはよほどのベテランでもない限り伸びしろがある訳で。。。そんなことをまったく考慮に入れず過去の成績や相性だけで起用される選手は、気の毒だと思いませんか?今までの努力も、これからの可能性も否定されているんですよ。

ボビーの取る起用や戦法はデータを駆使したものかも知れません。でもデータはデータになった時点で過去の物です。未来の予測までは出来ません。未来を本当に作っていくのは、少しばかりの過去のデータと、これからの努力の姿勢の両方じゃないですか?今の選手の個々の状態を的確に読み取って、その選手の将来に期待しながら信頼して起用する・・・選手の伸びしろを生かすような起用が、本当は必要でしょう。監督が見てくれている・監督が信頼してくれている、そういう起用で選手が開眼し伸びていくという部分が、所謂人心掌握の為には必要です。

人間は、データだけで動かされるものじゃあ、ないんです。

サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督の起用を見てください。その日の選手の体調や過去の実績と、今後への期待、そしてこれまでその選手がしてきた努力をきちんと評価し、適切な場面でその人の力が生きるように考えて起用しています。選手もそれを理解しているから、起用されなくても納得できるでしょう。起用された人間はチャンスを生かそうとし、監督の信頼に応えようと努力をします。そこには選手への尊敬があるのです。

バレンタインマネジメントの逆襲、と言う本を読んで腑に落ちたのは、ボビーの冷血な起用の理由です。彼にとってはチームの勝利よりも、自分が勝利監督となるために、如何に選手と言うパーツを効率よく使うか、それしか念頭にないのです。

特別に補強をした訳でもないのに今2位に居て、何がファンとして不満なのか、と言われれば、グラウンドでプレーする選手が自分のフィールドで闘っていないこと、でしょうね。
今、選手は間違いなくボビーのためのフィールドで闘っています。グラウンドの選手がハッピーでない状況でゲームに勝っても、私は見ていてハッピーにはなれません。

こんなこと言うのはファンとしては素直じゃないのかも知れませんが、こんな状態で2位に居ても、私は立派だとも嬉しいとも思えないんですよ。まだ、見込みある選手を育てていたエカ時代のほうが、なんだか希望があったように思えるんです。

実際、今のファームに、ボビー政権になってから育った有望選手がどれだけ居ますか?今の主力は外国人を除き、みんなエカの遺産です。
そんなことからも、暗い気持ちになるんですよ。



もうひとつは、コーチ陣の「上ばかり向いた」姿勢も気になります。皆クビが怖くて反論しないだけでしょう。あんなにトップの周りに中間管理職が取り巻いて居る状態は、会社だったら末期症状です。トップは適切な判断を誤りますし、現場(選手)は中間管理職が上ばかり見ているのに辟易し気力を失います。

私がボビー政権を批判するのは、単に采配批判ではないのです。采配を批判することは、結果論ですから後で何とでも言えます。しかし、選手の気力を奪うような起用だけは、ファンとして意見しても良いのではないですか?根拠のない、悪意に満ちた誹謗中傷なら、絶対にすべきではありませんが、少なくともグラウンドに夢を見たいファンの一人としては、選手の生き生きとした姿を見たい、そう思うのです。たとえ、勝利が遠くても。

私が先日の完投目前でのナオの投手交代で批判した時も、代えられる投手の心理を考えているのか、という観点からでした。エースとして信頼するなら続投させるべきだと思ったのです。タイガース戦で歴史に残る逆転負けの原因となった藤田続投の時は、ここのところ調子を落としているのだから1イニング抑えてホッとしているはず、なのに勝ちパターンに拘った起用をする必要はない、とだけ申し上げているんです。状態の悪い時に無理な起用をされてサンドバッグ状態でノックアウトされたら、どんな心境ですか?プロだから野球を辞めたりはしないでしょうが、気力を漲らせてプレーしようとは、思えなくなるんじゃないでしょうか?

私がボビーにお願いしたいのは、これだけです。
「希望に満ちた、気迫あるプレーをする環境を、選手の為に整えてあげて欲しい」
ファンが球場に足を運ぶのは、見せかけだけの勝利でも、イベントでも歌でも踊りでも、ビールでもありません。選手の、希望あふれるプレーだと、私は思うのです。

反論・ご意見大歓迎です。これはあくまで、私の考えなので。


「バレンタイン流マネジメント」の逆襲

「バレンタイン流マネジメント」の逆襲

  • 作者: 高木 徹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/28
  • メディア: 単行本