幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

夢の扉。

普段はあまり見ない(笑)放送局のTBSですが、この番組、初めて見たのですが最後まで見入ってしまいました。日曜夜18:30からの“夢の扉”という番組です。

http://www.tbs.co.jp/yumetobi/backnumber/20070930.html

今日は、福祉先進国の多い北欧から、スウェーデンの交換留学生として日本の地を踏んで以来、日本の介護環境を「自分が安心して受けられる」レベルへ引き上げたい・・・と努力されている、グスタフ・ストランデルさんの「夢の扉」。

「2015年までに、認知症になっても安心できる社会を作りたい」

ストランデルさんは、Swedish Care Institute(略称SCI)のマネージング・ディレクターです。スウェーデンの進んだ介護用品やシステムを。日本の環境に合わせて提供するビジネスモデルを研究する為の法人です。

SCIホームページ http://www.swedishcareinstitute.com/japanese/Index.html.html

SCIについて http://www.swedishcareinstitute.com/japanese/about%20sci.html.html

番組の中で、特に紹介されていたのが、スウェーデン式マッサージケアの“タクティールケア”。この“タクティールケア”を含めたスウェーデンの介護システムを日本に紹介しようと取り組んでいるのがグスタフさんです。

少し前に、ワタミの渡辺社長についてのエントリーでも感じたのですが、本当の意味の「介護」は、介護される側の尊厳を守ることだと、私は思います。渡辺社長が取り組んでおられるデンマークの介護システムもそうですが、このスウェーデンの介護システムも、基本は「本人の出来ることは、本人で」と、本人の自立を促す考え方で貫かれているんですね。

日本の介護の考え方は、ともすると「やってやる」式の横柄な態度が鼻について、介護する側の管理がしやすいように必要以上に介護される方の行動を縛り付けたり、出来ないことを前提に仕組みを作り上げています。

これは、介護される方の気持ちを無視しているばかりか、本来は出来る力のあることまで奪っていってしまっているように、思います。

介護のことを考えると、私はどうしても子供の教育と共通の問題を感じてしまいます。今、日本の教育が間違っているのは、必要以上に子供の行動を制限し、子供の考える能力を奪っていることにあると、私は考えます。可能な限り危険性を排除し、作られた環境でしか遊ぶことも学ぶことも出来ない・・・。管理する親・保護者はラクでしょうが、これで本当の“教育”と言えるのでしょうか?

介護においてもそうです。足が悪ければすぐに車椅子に押し込んで、本当は自力歩行出来るのにラクを選んでしまうとどんどん脚力が落ちて行き、しまいには車椅子無しには本当に動けなくなります。

これでは、介護する側の体力も負担も増すばかりです。動ける人には自分で動いてもらうべきでしょう。24時間管理しなくても、自分で生活出来る能力のある人は一人暮らしをしてもらい、必要な時にサポートを出来る体制を作って行くことのほうが、介護する側もされる側も、本当は望ましいことだと思うのです。

番組のホームページではタクティールケアにしか触れていませんが、(TBSだからそんなものでしょう)番組中にグスタフさんが紹介してくれた機器はこれだけに留まらず、徘徊する方にはベッドから起き上がると日時を声で案内する時計や、棒グラフで現在時間を表示し、その横に予定をホワイトボードで書き込むことの出来る時計、そして決められた時間に必要な薬を必要な量だけ取り出せるように出来る薬入れ、そしてテレビなどの機器を一つの大きなボタンで操作出来るリモコンなどがありました。そのどれもが、「一人で生活する」ことのサポートを念頭において作られているのです。

こういった機器を、日本のニーズに合わせてディテールを変更して提供することも、とても大切なことだと思います。ビジネスの話になると「介護には馴染まない」などと思われる方もいらっしゃるでしょうが、スウェーデンだけでなく日本でも市場が広がれば、より便利な機器がより安価に提供出来るようになるのです。ぜひともグスタフさんには頑張っていただいて、日本の市場へもスウェーデンの優れた機器を提供出来るようになって欲しいと、思いました。

それと、タクティールケアを既に日本でも導入している介護施設があります。千葉の浦安に本社のあるダイニチという会社が運営するホームです。

舞浜倶楽部 会社案内 http://www.maihamaclub.co.jp/company/sweden.html

ダイニチのホームページ http://www.dainichi.co.jp/home.html

タクティールケアを行っているシーンは、象徴的でした。介護は、仕事ではありますけど人と人とが直接相対する仕事です。そこに人の心の触れ合いがなければ、決して介護する側もされる側も、仕事から喜びを得ることは出来ないでしょう。

この、タクティールケアにより、介護される側の心に“安心”を得てもらうことが、認知症のケアにはとても効果があるように思います。そこには心の触れ合いがありますから。

私も、今は自分の仕事で手一杯ですけれど、ゆくゆくはこういった事業も手がけていけるようになりたいと思います。

その為には、自分の心の扉にしっかりと、目標を刻まなければ。グスタフさんのように。