ジョン・レノンの1974年の作品、「Walls and Bridges」。今日レコード棚から引っ張り出して、CD化しました。
私は、誰に一番影響を受けたかというと、迷わずに「ジョン・レノンです」と、答えるくらいジョンに受けた影響は計り知れません。中学生でビートルズに出会い、その中でも伝え聞くジョンの生き方・考え方、そして作品を通して伝わってくる哲学に傾倒して、若い頃は過ごして来ました。
その、ジョンの作品の中でも、「失われた週末」と呼ばれる、小野洋子との別居期間中にリリースされた「Walls and Bridges」と「Mind Games」は、アルバム全体に弱さが漂っているように感じます。それだけジョンがヨーコを必要としていたのだと、この二つのアルバムを聴くと痛感します。
その中でも「Walls and Bridges」は、アメリカのグリーンカード剥奪問題も絡んで、毎日飲んだくれていた精神的にはかなり参っていた頃の作品ですが、それだけに自分の気持ちが参っている時とか萎えてしまった時に、ついつい手が伸びてしまうアルバムです。
私はジョンのアルバムでNo.1は何、と聞かれれば「ジョンの魂」を挙げますが、この「Walls and Bridges」もそれに引けをとらないくらいに好きなアルバムです。「ジョンの魂」が、自らの生い立ちの振り返りであるならば、この「Walls and Bridges」は、自分の生き方への振り返りと言えるでしょう。
“Bless You”の洞察力、“Surprise, Surprise (Sweet Bird of Paradox)”の美しさ、そしてラストナンバーの“Nobody Loves You (When You're Down and Out)”のサビのシャウト・・・何回聴いても心にグッと来ます。
私が自分で詩を書き始めたのは、このアルバムのジョンの歌詞に触れてからです。日本のミュージックシーンで、こんなに深い歌詞を書ける人は今までも、今後も絶対に出ないでしょう。
著作権の関連もあるので直接の引用は避けますが、“Nobody Loves You (When You're Down and Out)”の歌詞で「君が酷く落ち込んでいる時は、誰も君を愛さないだろう。 (中略) 誰もが自分の誕生日を主張する世の中で 君が土の中深く眠る時 誰もが君を愛するだろう」 という歌詞に触れたときは、ものすごい衝撃でした。(対訳は私なので若干の意訳がありますが・・・)
サウンド的にはこのアルバムも「Let it be」と同様、フィル・スペクターのプロデュースとなる予定でしたが、フィルの意味不明行動で途中放棄され、最終的にはジョンのセルフプロデュースにより発表されます。音質はかなり悪いですが、音楽の出来としては、その後このアルバムの未発表テイクとして「メンローブアベニュー」で発表されたものよりも、「Walls and Bridges」の方が、私的には好みのサウンドです。ベースのクラウス・ブーアマンとドラムのジム・ケルトナーのコンビは、リズムセクションをがっちり支えてこのアルバムの芯を支えてる、と思います。
このアルバムで特徴的なのは、LPのジャケットが三分割されていて、ジョンの顔を分割して遊べる点です。ジャケットのイラストは、ジョン自身が11歳の時に描いたものです。
CDでも日本限定で、このLP仕様のジャケットを模したものが、昨年発売されているようです。
- アーティスト: ジョン・レノン
- 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
- 発売日: 2007/12/05
- メディア: CD
LPでは、こんな感じです。
表ジャケット閉じた状態です。
ジャケット裏面 開いた状態
表ジャケットを裏返して重ねると・・・
あっかんべー(笑)
ジョンも亡くなって、もう28年なんですね。