幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

国に頼るな。

前エントリーに引き続き、日経ビジネス5月12日号からです。

「こんな行政いらない~ムードで決まる政策が経済を殺す」と、何とも刺激的なタイトルの記事特集ですが、私はこれを読んで腹の中に溜まっていたものの理解者がここにも居たか・・・ととても気分が良くなってしまいました。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/premium/20080508/155594/

このところ、お役人の暴走が目に余るのは、私だけでしょうか?

耐震偽装に始まった建築基準法の改正は、住宅着工の障害となって関連業界の首を絞める結果にしかなっていません。

多重債務者の問題がクローズアップされると、原因は高金利とばかりに出資法上限金利を何の思慮も無く引き下げ、その結果中小企業を取り巻く資金供給がストップし、倒産件数がうなぎのぼりとなっています。

高齢者などで不慣れな金融取引による損害を規制する為に、金融商品取引法が改正されましたが、現実を無視した年齢制限をかけたため経済のプロである大学教授が、82歳という年齢ゆえに銀行窓口で投資信託の購入を拒否されるという笑えない事態まで招いています。

これらの法改正全てが、場の流れ、空気を読みすぎて流されていった結果に出てきた、とんでもない代物です。特に建築業関連では今年の夏に予定される住宅保険制度で、加入に当たって調査する保険検査制度によって、検査要員の不足を招いて住宅供給が麻痺してしまう懸念があります。

建築基準法は、姉歯建築事務所の偽装問題から発展し、世論が過度に建物の安全性に拘り、国交省への批判の嵐が吹き荒れる中の検討でした。改正貸金業規制法も、多重債務問題は高金利のせいだと、ヒステリックに叫ぶ人たちに誰も反論出来ないが故に成立してしまった悪法です。どうにも日本人は流される傾向があっていけませんね。真実を見失ったまま、その場の空気だけで物事を決めてしまいます。それが例え間違っていても、空気で決めれば誰も責任を問わないからでしょう。

政府・官僚は規制強化イコール消費者保護という短絡的な発想しか持っていません。所詮頭の良いお役人達は、下々の者どもが馬鹿に見えて仕方がないのでしょう。国民全ては、手取り足取り、優秀な官僚が決めたルールに則って動いていかなければ、生活に困るだろう・・・と言う姿勢がありありと感じられます。
その優秀なお役人が考えたものに、後期高齢者保険制度もあるのですが・・・。

お役人には「市場原理に任せると格差が拡がったり、悪徳業者がのさばったりする」という固定観念が抜けないようです。しかし、過度の規制は市場の活力を奪い正常な競争原理まで働かない硬直化した市場を作り出してしまいます。建物の安全を過度に守ろうとした結果、検査が出来ずに建物そのものが建たなくなりました。
金利の規制を強化したばかりに、貸付のリスクが金利収入を上回ることとなるため、融資が厳格化して資金ショートを起こす中小企業が続出しました。

それでは一体どうすることが、経済を活性化させその上消費者の利益を本当に保護することに繋がるのでしょうか?


記事では、どうしようもないお役人には頼らず、問題解決へと導く方法を示唆しておりました。

西日本新聞の記事で、福岡県の遠賀タクシーの事例です。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/fukuoka/20080326/20080326_029.shtml
「ZOC」と名づけられたその料金体系は、お役人の規制には合致せず行政処分により廃止されてしまいます。それでも新しい料金体系を支持したのは一般のお客様でした。
元来、タクシー料金は初乗りはそれほどでもないですが、距離を乗るほど高くなる・・・という体系で作られています。これが消費者のニーズに合致しているかどうか、タクシー会社の経営に良いかどうかはまったく検討されずに・・・です。

ZOCの料金体系は、初乗りは高いですが距離を走っても上昇率はそれほどでもありません。それが長距離利用の需要を掘り起こし、それまでタクシーを使おうとしなかった人までタクシーを使うようになったり、距離を走ることで運転手ごとの売り上げが増え、結果的にタクシー会社も運転手もハッピーになれるというものでした。

おそらく、規制の元となる料金体系を考えたお役人は「初乗りは誰でも乗れるよう安めに設定しよう。その分長距離を上げることで初乗りの安さを回収しよう」・・・と考えたはずです。しかし、ZOCを多くの人が支持をした、と言うことは厳然たる事実です。お役人の考えた料金体系が間違っているとまでは言いませんが、お役人の発想のみで一つの料金体系だけしか認めないという行為が正しくない事は、分かると思うのです。

お役人の考える規制でも、その程度のものなのです。それであれば基本は市場原理に委ねて、政府は消費者が適正な判断が出来るようなバックアップのみに徹することが、本当の消費者保護、そして経済の活力の維持のためには必要なものだと思うのです。