幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

記号。

日本車って、個性の面ではやはり外国車には敵わないものがありますけど、それでもその存在意義と個性で、充分に魅力を備えたクルマも、あります。

日産スカイラインGT-R。“羊の皮を被った狼”という言葉が示すように、大人4人がゆったり乗れる実用的なパッケージングとスポーティな走行性能が両立したクルマとして、国外での評価も意外と高いクルマです。

私は、親父が一時「偽スカイライン」(通称“ケンメリ”の1800エンジン)に乗っていたこともあり、自分で買ったことはないのですが、馴染みの深いクルマです。

そのスカイラインアイデンティティは、丸型4灯式のテールライトです。これがスカイラインを示す、いわゆる記号として認知されているのは公然の事実で、競合するホンダ・マツダなど他のメーカーは、自らがスポーティなモデルを発売する時にも、この“丸型4灯”だけは使わないのが暗黙の了解となっていました。

ウィキペディアには4代目C110の記載の中に、丸型4灯についての記載があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3

“丸型4灯”テールライトを使用し始めた最初のモデルです。(GT-Rのテールではないですが・・・)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/88/Nissan_Skyline_C111_2000_GTX-E_002.jpg

元々はこのスカイラインも、日産のクルマではありませんでした。




日本最高峰のグランプリ、日本グランプリで、ポルシェの牙城を破り制したのは、その年日産に吸収合併されるプリンス自動車が開発した”R380”でした。プリンス自動車が日産へ吸収合併され、プリンスの開発者が日産へ移ってから開発したのが“スカイラインGT-R”、そしてそのスカイラインGT-Rの「記号」、それが丸型4灯のテールライトなのです。

実際には日本グランプリで走行したクルマにこの丸型4灯が意匠として使われた訳ではありません。それにプリンス自動車も日産も、特に丸型4灯のテールライトの意匠登録などを行った訳ではないでしょう。

でも、先にこの丸形4灯テールライトをアイデンティティとして使うクルマがあり、しかもそのクルマがこれだけの背景を持ったものなのに、それをこんなに単純にコピーして使ってしまうこのメーカーの開発者の感覚に、強い憤りを覚えてしまいました。

首都高で、このクルマのテールライトを見たときは、てっきりスカイラインだと思いましたよ。

http://toyota.jp/crownathlete/exterior/garally/index.html

このWebカタログでの写真(「エクステリア」でリアビューの見える写真を選択してください)は、テールライトが点灯していないのではっきり見えませんが、完全な“丸型4灯”です。

トヨタとしては、特に意匠登録されている訳ではないですし、スポーツイメージの強い“丸型4灯”デザインを、「もう、いい加減1971年の日本グランプリでもないだろう」と、軽い感覚で使ってしまったのでしょう。別に、それをコピーしたからといって、法に触れるわけではないですからね。

でも、法に触れなければ良いってものでは、ないです。開発者、そして自動車メーカーとしての「良心」があれば、この丸型4灯のテールライトを軽々しく使うことは、出来ないと思うのです。

しかし、上記YouTubeで見える、開発者の桜井さんの少年のような表情、何とも言えず良いですね。私もこういう顔をして仕事が出来たら、どんなに幸せでしょう。

とても眩しく、羨ましい笑顔でした。