幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

能登はやさしや、土までも。

映画「能登の花ヨメ」
http://www.notonohanayome.com/

石川県以外の公開初日、見て来ました。
映画を、映画館で見るのは「Field of Dreams」以来ですから、何年ぶりでしょうか?
銀座のシネ・パトスの、16時からの上映でした。

まずは、映画館の雰囲気が比べようも無いのですが、年齢層が高いですね。映画のネタがネタだけに、見に来ている層が、やはり石川県に縁のある人が中心なのでしょう。

映画の内容は、以前にも記したとおり、凡庸なテーマのありきたりな内容です。主人公の田中美里さん演じる「みゆき」の設定も、東京で派遣として広告代理店で働くOLという設定があまりにもお手軽で、そしてみゆきの台詞の「ステレオタイプ」と言う言葉が妙に馴染めず、「もうちょっと真剣に作ってくれよ」と感じた映画では、ありました。

映画のアイディアが2000年頃だったのに、それが昨年の能登地震で相当なレベルで“主旨換え”したことが、ストーリーの破綻として随所に見られるのです。それが人物設定の安易さに繋がったと思うのですが・・・。

それでも、フジ婆さんの葬儀の時の描写、そして能登地方独特の風習や空気感の表現は、他の土地の出身の方にしては「良くここまで描けたな」と感じました。
それと、泉ピン子さん演ずる“田舎の母”は、存在感ありますね。あの演技は唸ります。

映画を通して気になったのが、撮影しているフィルムのエンドを知らせる画面左上の白い丸の点滅が、随所に見られたことです。映画の撮影はシーンごと、カットごとにひとつの単位で撮り貯めた上で、編集して1本に仕上げるのでしょうが、撮影限界を知らせる白丸点滅がこうも出てくる映画って、珍しいですね。それだけ撮影が上手く行かなかったのか、後で修正で撮り直した為なのかは、関係者以外、知る由もないでしょうが。。。

文句ばかり書き連ねていますけど、それでもロケ地の穴水町の景色、山にキノコを取りに入った時の景色・・・そして金沢の茶屋街の景色を見ただけで、自分の中に残っている故郷・石川の景色と重なって、それだけでこみ上げてくるものがありました。

映画の撮影で使用された家も、まるで私の実家へ帰ったよう・・・。漆で仕上げられた造作に、欄間に掛けられたご先祖様の写真、そして大きな金色の仏壇・・・全てが子供の頃から馴染んで目にしていた光景です。それを目にしただけで私は自分の“原点”を悟ったように感じました。

地震があっても、実家に帰ることすら出来て居ない私です。古い狭いしきたりで暮らすことを嫌い、また仕事もない事から故郷を捨てて都会で暮らす子供世代・・・そしてその子供に負担をかけまいと、古く広く、暗い家で寂しく日々を過ごす親の世代・・・。

これは、私の故郷・石川に限った事ではなく、地元に仕事が無く都会に出てきた全ての人に、等しく降りかかってくる問題ではないかと、思うのです。

みゆきが裏山に、キノコ取りに連れていったフジ婆さんの息子の言葉が、私には堪えました。
「離れれば離れるほど、帰りにくくなる。それでも故郷は、優しく受け入れてくれるのに」


故郷は、あまりに遠いと、差し迫った時にしか帰りません。
個人的な話になってしまいますけど、息子を実家に預けに帰った頃、その時に受け入れてくれた私の周囲の全ての人に、改めてお礼を言いたくなりました。

能登はやさしや、土までも」

上映期間も、上映されている映画館も少ないですが、ご興味を持たれた方は、是非ご覧になってみてください。

ちなみに、首都圏ではコンビニ「スリーエフ」各店で、前売券発売中です。スリーエフでは「おいでまっし能登加賀」と、石川県応援企画を実施中です。
http://www.three-f.co.jp/campaign/2008noto/
http://www.three-f.co.jp/about/news/080804_notokaga.html

映画にも友情出演されていた、パティシエ、辻口さんの監修する「能登の花ヨメ」ロールの予約も受け付けています。
辻口さんは以前にも、私のブログでエントリーさせていただきました。能登地震のちょうど1週間前でした。

makuhari-windy.hatenablog.com

何故スリーエフが、と疑問を感じたので調べましたら、スリーエフ社長の中居さんは、石川県内灘町のご出身だったのですね。
http://spysee.jp/%E4%B8%AD%E5%B1%85%E5%8B%9D%E5%88%A9

8月28日 追加:
更に中居さんを調べましたら、なんと同い年!創業者の婿さんだったのですね。しかし、華麗な経歴です。私とは大違い(笑)
http://apcf.uchida.co.jp/inkspot/index.cfm?fuseaction=NewColumn&NowCategoryID=9&NowColumnNumber=23

こんな私には、故郷に・大切な人に、何が出来るでしょうか?