幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

お互い様。

日経ビジネスオンラインの、「もう、お金には振り回されない」・・・今回は“お互い様というセーフティネット”というタイトルで、昔ながらの人間関係に根ざした地域社会のあり方から、本質的なセーフティネットとは何かを考える内容のコラムでした。

お互い様というセーフティネット 日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090223/187018/?P=1


この記事で私が一番興味を覚えたのは、1953年と2005年の全就業人口における被雇用者(給与所得者)の割合を比較すると、1953年では40%程度だったものが、2005年では90%近くまで増えているという行です。(2ページ目最下行)

そこで、e-Stat(政府統計の総合窓口)から実データを入手して、計算してみることにしました。

e-Stat(政府統計の総合窓口
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do


算定方法:

e-Statのトップページからキーワード検索で「労働力調査」と入力し、その検索結果の中で「長期時系列データ」-「基本集計」を選びます。
そこで表示された表のうち、1-1 [月別結果-全国]主要項目の月別結果の原数値及び季節調整値(労働力人口)の数値から、1-3[月別結果-全国]主要項目の月別結果の原数値及び季節調整値(雇用者数) の割合を求めました。

データが月別ですので、両年の12ヶ月の平均値で計算しております。



1953年・・・41.68%
2008年・・・83.07%


実に驚くべき数値ではありませんか?
今では、学校を出ればどこかの企業に就職してお給料をいただいて生活するのが当たり前と呼べるような数字になっていますが、1953年、戦後10年ちょっとの時は企業もそれほどの雇用の受け皿とはなっておらず、生活の基盤である地域で、自営業者のような形で生活の糧を得ていたのでしょうね。

そこには地域の商店街があり、地域に密着した形で互助組織のようにそれは機能していたのでしょう。ひとつの商品・サービスを求めるだけであれば割高で甚だ効率の悪いものでしょうが、地域全体として雇用の受け皿となり、また互いに生活の糧を得る為の仕組みだと考えれば、一概にそれが悪いとは言えないものではなかったのでしょうか。

現在では商店街は郊外の大規模ショッピングセンターに根絶やしにされ、そこを中心とした人の繋がりもすべて消えてしまいつつあります。地域のコミュニティは絶滅の危機にあると言えるでしょう。商店街の存続は単に自営業者の生活権を守る為に必要なのではなく、その地域全体が協力して生きる為の糧をそこから学び得られることが重要なことなのだと感じました。

人間関係の希薄化は、勤め人の割合の増加がもたらしたこと・・・そういう視点を持ったことが無かったものですから、このコラムは私にとって非常に新鮮で、新しいものの見方を与えてくれたような気がします。言われてみれば“世間様”“他人様”という感覚はすなわち密接に繋がった濃厚な人間関係あってこその表現であり、サラリーマンだらけの現代社会ではその感覚が失われていってもやむを得ないことなのかも知れません。

現在のように人間が生きる為の術というものは、皆が同じように勤め人になることしか選べないのでしょうか?そうすると、人間の生活の豊かさというのは単一的な評価基準しかなくなってしまい、学校の成績イコール良い会社、お給料の良い会社へ勤められることが幸せ・・・といった、偏った価値観に埋め尽くされてしまいます。それが現在の雇用不安、派遣や契約社員といった格差を生んでいるような気がしてなりません。

もっと人間は多種多様な価値観で、色々な生き方を選べなければならないと、思いませんか?地域社会の中で生活の糧を得られるよう、人と人との繋がりが仕事や収入を生み出して行く・・・未曾有の不況と言われる現在ですが、今こそそういう社会への回帰を目指して、舵を切る必要があるのではないでしょうか。


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