ちょっと前に終わった日テレ系のドラマで、ずいぶん昔の少年漫画を題材にしたものがありました。
「銭ゲバ」 ~ ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%AD%E3%82%B2%E3%83%90
それの主題歌として流れていたのが、“かりゆし58”の「さよなら」という曲です。
元々はかりゆし58の、所謂「卒業式ソング」的なものとして創られた曲でしたが、「銭ゲバ」プロデューサーの河野さんが求めていた“激しいのに、やさしい”というイメージぴったりで、描こうとしていたドラマ像に合致したそうで、急遽テーマソングとして採用が決まったそうです。
この曲は、ドラマのテーマがあまりにも暗く、時代にもちょっと外れた感も否めませんでしたので、現在はそこそこのセールスに止まっているようです。
それでも私はこの河野プロデューサーではないですが、「さよなら」の曲を一度聴いただけで、頭から離れなくなってしまいました。この曲を聴くまで、私はかりゆし58の存在を知ることは無かったのですが、この一曲の引力だけで彼らの作品をもっと知りたいと思うようになってしまったのです。
先ずは彼らのファーストフルアルバムの「そろそろ、かりゆし」で彼らの世界に触れますが、これがなんとも今まで殆ど触れたことのない音楽の世界で、強いて言えばジャンルとしては、ブルーハーツのようなパンク系の激しいロックを志向する部類に属するのでしょう。
しかし、かりゆし58は、どちらかというと曲に取り上げる題材も日常生活の中で感じる雑多な人々の思いを等身大で取り上げる、“肩肘の張らない”曲が殆どで、強いメッセージ性とか、お説教染みた良心の押し付けなどは、一切無いのです。
Amazonの、かりゆし58の作品に対する評価で、同じく沖縄出身のインディーズ系バンド、“モンゴル800”と比較して取り上げ、「モンパチ(モンゴル800の略称)には敵わない」などと書かれている方も若干見受けますが、私はその評価には反対です。
モンゴル800のサウンドは、ブルーハーツ直系(むしろ、パッチもんに近い)の印象が強く、サウンドも演奏も単調で、歌詞もあまりに直接的表現ばかりで少々お説教染みた感が否めませんが、かりゆし58のサウンドは、沖縄の民謡などのルーツも感じさせつつ、その叙情的な歌詞も相俟ってどちらかというと「泥臭い」サウンドになっています。
私は、ミュージシャンの好き嫌いは好みの問題だと思いますので、この2つのバンドを比べて「どっちが上、どっちが下」などと比較するほうが間違いだと思うのです。
私にとっては、お説教染みていておまけに政治くさい内容まで音楽に持ち込んだ胡散臭さを感じるモンゴル800よりも、かりゆし58のハートウォームで叙情的な歌詞に、アップテンポのビートに拘らない柔軟なメロディラインが大変魅力的に感じられるのです。
今回は、かりゆし58のニューアルバムとして発表された「でーじ、かりゆし」を聴きました。
「でーじ」とは沖縄の方言で「すごい」とか「とっても」という意味の言葉です。
沖縄の方言なのですが、私は何か聞き覚えがあったので、意味もすぐに分かりました。それがなぜかと思って居りましたら、沖縄と宮崎の方言の共通項がかなり多いそうなのです。
http://www.lequio.co.jp/investigator/investigator_new.html
私は「でーじ」も分かりましたけど、「てげ」も知ってましたよ!(笑)1年ちょっとしか住んでませんが、宮崎弁はほぼマスターしましたから(笑)
この「でーじ、かりゆし」は、新作のアルバムというよりは、今までのキャンペーンやタイアップソングをまとめて1枚のCDにした・・・という表現が適切かも知れません。
アルバムに収められた曲の、タイアップ状況をまとめると・・・
1曲目:「希望の唄」~朝日新聞社『サッカーCM』テーマ・ソング
2曲目:「ナナ」~MBS『おいしいうた supported by MPO』2008年11月度テーマ・ソング
4曲目:「エーデルワイス」~沖縄セルラー『つながるのはauキャンペーン』CMソング
6曲目:「世界はきっと」~コカ・コーラ『もっと家族を楽しもう』キャンペーン・ソング
7曲目:「さよなら」~日本テレビ系土曜ドラマ『銭ゲバ』主題歌
8曲目:「情熱の薔薇」~ダイハツ『タントカスタム』CMソング(ザ・ブルーハーツ“情熱の薔薇” カバー)
11曲目:「ウクイウタ」~TX系列全国ネット『音楽ば~か』エンディング・テーマ
かりゆし58を知らなくても、一度その曲を聴けば、もしかしたら頭のどこかにイメージが残っているという方もいらっしゃるかも知れませんね。
私は、この曲の中では、ブルーハーツの「情熱の薔薇」これに惹かれました。原作をリスペクトしながら、ちゃんと自分達の作品としての味を出しています。
原作は、こちら。これも説明不要の名曲ですね。
情熱の薔薇 The Blue Hearts ~ You Tube
心がちょっと疲れたとき、自分の思いに迷いが生まれたとき・・・それでも前を向いて生きていこう、そんな方に、かりゆし58を、聴いて欲しいです。それが彼らの望みでもあるでしょうから。
さよなら PV かりゆし58 ~ You Tube
音楽