幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

そんなに。

お役人の考えるほど、ことは簡単じゃないですよ。


端末各社、コスト増を懸念 SIMロック解除に反対鮮明
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/07/news034.html

皆さんお使いの携帯電話にはSIMと呼ばれるICチップが入っているのはご存知だと思います。ドコモやソフトバンクであれば、このチップの差し替えで他の同じキャリアの携帯が使えると言うことも、一般的にかなり浸透はしているように、思います。但し、他の携帯電話回線事業者の機種には使えないと言うことも、不文律的に理解されていることと、思います。

このSIMロックというのは、携帯電話回線事業者で、他の事業者の機種を使えなくする・・・というものですが、これを“自由化”することで、携帯電話回線事業者間の競争を促し、利用者の料金を下げることが出来る・・・と、総務省のお役人様は考えているのでしょう。

しかし、欧米と日本とでは携帯電話の発展の過程も技術も異なります。そんなことも理解した上で、このSIMロック解除を考えたとは、私には到底思えないのです。

日本では総務省の規制により、事業者ごとに使用する電波の周波数が割り当てられています。そのことが何を意味するかすら分からずに、「利用者の利便性を高めるためには、民間の作った“障壁”を取り除くことが良いことである」と、決め付けて動いているとしか思えません。現状ではSIMロックを解除しても、ドコモとソフトバンクは何とか「共用」出来ますが、端末でカバーする周波数が異なる為、つながらないケースが増えるでしょう。auではそもそもSIMの規格が異なる為、使うことすら出来ません。

IT Mediaで公開されているKDDI作成の資料より・・・これが分かりやすいです

http://image.itmedia.co.jp/l/im/promobile/articles/1003/31/l_sa_sim02.jpg

この表をご覧いただけば、現状のままではSIMロックを解除しても、音声電話を端末のカバー出来る周波数帯のみ共有出来るだけだということが、ご理解いただけることと思います。

ケータイSIMロックの解除、LTEでも課題あり――KDDIの古賀氏
http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1003/31/news070.html

現実的には日本以外では、SIMロック解除とは反対の方向に、舵が切られています。会社ごとに規格が違うものを統一するために支払うコストが料金に跳ね返り、ロック解除することでかえって高い利用料を支払うことにもなりかねないのです。

総務省の方々は、SIMロックによって顧客を囲い込むことで、利用者に高い利用料を強要し携帯電話事業者は不当に高い料金で巨利を得ている・・・それを守るにはSIMロック解除が必要だ・・・と思っていることでしょう。しかし実際にはいくら携帯電話事業者が囲い込みを行っても、ナンバーポータビリティが実施されている現状では、少しでも料金が高いとなるとすぐに回線事業者を変更されてしまうことを、知らないのでしょうか?

回線事業者はそれを回避するために、あの手この手の割引プランや料金設定を使って、如何に自社が安い料金かを競っています。回線事業者は巨利なんて得て居らず、日本の携帯電話料金は世界的に見ても端末まで含めたトータルコストでは、世界的に見てもかなり安価な部類に属するでしょう。端末が多機能・高性能であることを考慮すれば、コストパフォーマンスは既に世界一かも知れません。

お願いですから、これ以上「民業」をおかしくすることを、しないで欲しいものです。このSIMロック解除を強硬すれば、間違いなく料金は上がりますから。


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