幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

事実なんて。

その言葉は、軽々しく言わないで欲しいですね。

壮絶体験歌う13歳天才シンガー 中川あゆみ「泣ける」と話題 ~ J-Cast
http://www.j-cast.com/2010/05/03065787.html

弱冠13歳のシンガー、中川あゆみがエイベックスから「売り出され」ます。明日2010年5月5日、“こどもの日”に。

中川あゆみ オフィシャルサイト エイベックス
http://nakagawaayumi.com/index.html

6歳で両親が離婚、父も母も他に交際相手が居て、祖父母に養女として育てられ、現在に至ります。

同世代の子どもからみて不遇と思われる生い立ちと、13歳にしては説得力のある野太いボーカルとで、音楽にあまり縁の無い方から見れば、中川あゆみの曲に触れることは、大きなショックがあると思います。

反面、商業主義の権化のようなエイベックスからリリースされることも相俟って、「大人に利用されているだけ」「不幸の切り売り」という声も少なからずあるようです。
私もどちらかと言うと後者の感想を持ちました。

確かに、両親の離婚は辛いでしょう。おまけに両親共に見放しているのですから。ただ、6歳で離婚と言うのは、うちの息子も同じ経験をしていますし、それが当たり前とは言わないまでも「壮絶な体験」と販売会社が言うほど壮絶なものでも無いでしょう。同世代の子から考えると専用の練習の部屋も楽器もあてがわれ、どちらかと言うと恵まれている部類に属するかも知れません。

私が一番引っかかったのは「事実しか歌わない」という行です。高々13歳程度の経験で、軽々しく“事実”と言えることが、私には不思議でなりません。それが本当に事実ならば、事実かどうかの検証が必要ですよ。本当に事実であればあるほど、「事実」だなんて口が裂けても言えなくなります。少なくとも私は。

歌詞も、おそらくほぼ本人の作になるのでしょうが(業界の常として補作詞は当然あるでしょうが・・・)、単なる「起きたこと」の羅列に過ぎず、そこに表現が存在しません。何でもストレートに書けば良いってモノではないのです。そんなことは周囲の大人が教えるべきで、この程度のレベルでチヤホヤされて「事実」だと言って売り出すのであれば、「プライベートの切り売り」の誹りも逃れられないでしょう。

本当に事実と言うのなら、両親が離婚して捨てられた状態にありながら、このようなCDデビューまでたどり着いた自分の恵まれた境遇に感謝し、祖父母に感謝した言葉を、ストレートな言葉だけじゃなく、ちゃんとした歌詞と曲で、芸術として表現して欲しいものです。

商業主義の権化・エイベックスの所属シンガーでは、少なくとも良い見本はありませんから、もっと視野を広く・・・そう祈らずには居られません。