幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

点数稼ぎではない。

菅さんちのなおと君を、初めて褒める人がちらほら。


浜岡停止要請 首相の決断を評価する ~ 毎日.jp社説

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110507k0000m070151000c.html

今後30年以内に起きる確率が非常に高いとされる東南海地震の想定震源域真上の、浜岡原発の停止要請を菅首相が行ったことは、おおむね好意的に受け止められているようです。

でも、本当にそれでいいのでしょうか?

私は、そうは思いません。でも、原発を止めると電力需給が逼迫(以下略・・・と言いたい訳では決してありません。浜岡を止めても鹿児島の川内はどうかとか佐賀の玄海はどうかとか、事故を起しても大きく報道されない福井県の実験原子炉もんじゅをどうするとか、止める・止めないの判断基準を示せ、ということでもありません。

今回の菅首相の要請は、停止してその間に津波などの安全対策をする・・・というところに止まっていることが問題だと言いたいのです。

広瀬隆 特別インタビュー 「浜岡原発全面停止」 以降の課題~ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/12199

現実に、福島第一の4号炉は停止中に津波被害を受けました。停止していても水素爆発(或いは、もっと怪しげなことが起きているかも・・・?)を起しているので、本当は停止して冷やして、燃料を抜かなければ地震の備えにはならないのです。

だから、本当は浜岡原発は「停止」だけじゃなくて、炉心を冷却して「廃炉」処理することが必要なのです。今の地震対策では、申し訳程度の壁を作ったり、ちょっと高台に電源を移したりという場渡り的なものに過ぎず、地震の脅威をなめているとしか思えません。
またその不十分な対策すらも、いつかまた“仕分け”されてカットされないとも限りませんし、どう考えても活断層の真上の原発を、国内に放射能を垂れ流している原発が他にあるというのに止めないで動かす神経は、私には理解出来ません。

そういうと原発肯定(或いは容認)の方々は、「電力供給の問題」を持ち出しますが、果たして本当にこんなに効率の悪い原子力発電が必要なのでしょうか?

中部電力管内の、猛暑だった2010年のピーク時需要は、最大電力2698万kWでした。そして中部電力の稼動可能な発電所の供給能力は、原発をすべて除いても2918.8万kWあるという事実を、ご存知でしょうか?

この件は衆議院議員河野太郎さんがブログで書かれています。
http://www.taro.org/2011/05/post-1003.php

元々不足などしていないのです。

それに、殆どマスコミでは報道されていませんが、日本には電力会社以外にも発電しているところがあります。東北地方・太平洋沖地震でも、JR東日本の保有する発電所の件が報じられましたが、大量に電力を消費する事業者は、自ら発電所を保有するケースが多いのです。それを電力供給者IPP(Independent Power Producer=独立系卸電力事業者)と言います。そのすべての供給能力を合計すると最低でも2135万kW、最大では5200万kWに達すると言われており、この部分を考えるだけでも、「電力不足はあり得ない」のです。
(独立系卸電力事業者は有事の際に一般の送電線への電力供給が義務付けられている)

一方で原発の供給能力は、廃炉になる福島第一原発は469.6万kW。地震で破壊された柏崎刈羽原発2・3・4号機は再起不能の停止中で、実際には4111.6万kWしかありません。

つまり、現時点ですべての原発を止めても何の支障もないのです。はっきり言って原発を稼動している理由は、その利権に群がる電力会社・政治家、そして交付金に頼る自治体の財政的な理由によるものであって、「電力供給」の問題などは、後付で原発を正当化するための詭弁に過ぎないのです。


また原子力発電は、実はとても効率の悪い発電なのです。原子力発電の熱効率はたったの30%で、のこりは殆ど熱のゴミとなり、冷却用の海水を高熱のまま海へ放出し、熱による海の環境破壊が避けられないという問題があります。海水温の変化による生態系への影響は、計り知れないものがあります。

世界的な「脱・原子力」の流れの中で、最も有力な代替発電方法は、LNG液化天然ガス)火力発電です。
LNGは燃焼排気もクリーン(天然ガスなので水蒸気が殆ど)ですし、新しいガス・コンバインドサイクル方式のLNG火力発電では、熱効率が60%以上と高い上に、廃熱を何度もタービンへ送る仕組みのために、廃熱は原子力発電の半分程度と大変少ないものになります。

LNGの資源の問題はありますが、当面の環境保全電力需給にフォーカスを当てるならば、LNG火力は有力な原発代替案となりうるでしょう。これで得られた時間を、地熱発電プラントの導入に当てれば、将来的な電力エネルギーの確保への時間は担保されるのではないでしょうか?

それともうひとつ、電力需給問題の解決にも、取り組むべき課題が残されています。
電力需給で問題視される需給の逼迫は、あくまで最大使用時のみです。電力消費量の落ち込む時間帯には、何の問題もありません。

電力消費の少ない時間に蓄電し、ピークに放出する電力インフラを作れば、そもそも現在の発電能力だけでも、電力供給能力は過剰です。現在は無駄になる電力量を予測しながら、発電所の起動・停止を繰り返したり、揚水発電所(夜間の余剰電力で発電用の水を貯め、電力需要の高まる昼間にそのくみ上げた水を使って発電する)を使ったりして、電力需要のピークに対応しています。
でも本当は、作った電気を貯めてピークに備えれば、何の問題も無いはずです。まとめて貯めるのが難しければ、日本の優れた蓄電技術で各家庭に蓄電するインフラを作れば、原子力発電所を頼らずに電力需給のバランスを維持することなど、容易いのです。

電力会社は発電所のコストを燃料代・建設費、為替差損も含めすべてを電力料金に転嫁出来るため、こういったピークバランスの発想を認めない(作れば作るほど儲かるのだから当然ですね)だけで、本当は原子力発電などよりも、もっと安全で効率の良い方法がいくらでも日本にはあるのです。

なおとくんも、原発の視察で福島第一の状況を悪化させてしまいましたから、ここはあとひとふん張り。電力利権にも“命を賭けて”切り込んで欲しいものです(期待していませんけど)

VPS

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