幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

価格。

もうだいぶ前に、仕事用のノートパソコンを買い替える・・・ってエントリーしました。

makuhari-windy.hatenablog.com
やっと、新しいパソコンのご紹介です(笑)とは言っても、買ってから1年以上経ち、旧型になっちゃったVAIOのType Z VPCZ139FJ/S です。

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VAIO VPCZ139FJ/S ~ ソニー ホームページ
http://vcl.vaio.sony.co.jp/product/vpc/vpcz139fj.html

私の新しい相棒、VAIO Zですが、世の中には“ソニー・タイマー”なんて悪口言う人もいますけれど、現在のIntel Coreiシリーズになってからは、本当に故障率が下がりました。もちろん一昨年の11月に購入してからトラブルは一度もありません。余談ですがこのVAIOは昨年の3・11の日にも持ち歩いており、情報入手に本当に役立ちました。重量も光学ドライブ内蔵で約1.3キロと軽量ですから、左腕に障害のある私には助かります。

VAIOというと、これを購入した当時はそんなに低価格の機種はありませんでしたが、今ではVAIOでも6万円台の製品が販売の中心となっており、パソコンの低価格化の波にはほんと驚くばかりです。

その中心を担っているのが中国など東南アジア地域で生産されている海外勢のパソコンですが、そんな海外勢の低価格にも、それなりに理由があります。

というと、安いパソコンはあとのサポートが今ひとつだから安いんじゃない?っておっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、必ずしもそうではありません。
販売後のサポートの良しあしと価格は必ずしもリンクしません。あくまでそれはメーカーとしてのサポートの考え方によります。安い製品でもしっかりサポートをしてくれるメーカーはあります。

じゃあ、何故海外メーカーのパソコンが安いかというと、それは製造時の「お金のかけかた」によるものなのです。

パソコンは、たくさん作れば値段が下がる・・・というものではありません。もちろん、10台作るよりは1,000台作ったほうが安いですが、1,000台を10万台にするからと言って、1台あたりが劇的に単価が下がるものでもないのです。というのは、パソコンはマザーボード、メモリ、CPU、HDDなどの“部品”から出来ていますが、この部品がまた一つ一つの電子部品の塊であり、そのうちひとつの部品をどんなに大量に作って値段を下げても、それがマザーボードの価格引下げに貢献するまで下げよう・・・という事になれば、それこそ膨大な数の部品をものすごいロットで作らなければならなくなるのです。


パソコンを製造するメーカーが販売価格を設定する場合は、メーカーによって少々の違いはありますが凡そ次の五つの“かかった費用”を基にして決めています。


①部品の価格と調達個数
②製品の製造台数
③設計・開発コスト
④販売管理費
⑤利益(メーカー・販売店)


まず①ですが、部品の代金が、たとえば1台分1式で3万円とします。この3万円分の部品を1,000台分購入しますと、
3万円×1,000=3,000万円  となります。

次に②の、この部品を使って何台のパソコンを製造するかを決めます。1,000台分あるから1,000台作ったら、壊れたときに使う部品がなくなるので、ここでは仮に部品の保有年数(5年)に故障率を掛けて800台に決めます。

③この製品の開発にかかったコストを計算します。人件費の計算は各社それぞれですのでここでは総額1,000万かかったとします。

④の販売管理費は製品の流通や在庫管理にかかる費用です。この費用は製造台数に左右されますので定額ではなくパーセントで計上しますが、おおむね10%前後でしょう。この費用で製品のサポートに振り当てる費用も賄われます。

⑤の利益ですが、実際には現在はメーカーの利益はほとんどゼロに近くなっています。理想的には製造時に20%程度あれば良いな・・・ですので、ここでは20%見積もりましょう。それに対し販売店はほぼ25%程度の利益です。

この5つの費用から計算すると・・・このパソコンの純粋な原価の合計は、

3,000万+1,000万=4,000万 です。

これを製造台数800で割ると、1台あたりの原価は5万円になります。

実際の販売価格ではこれに販売管理費10%(5,000円)と利益(両方で22,500円)が加わりますから、
合計で 77,500円 となります。

ものすごく大雑把な説明ではありますが、現在市場で8万円前後で売られているパソコンの部品の製造原価はほぼ3万円前後と言えます。

さて、ここで仮に、これを部品の数(1,000台)だけパソコンを作るとなると、原価はどうなるでしょうか?
4,000万のコストがそのままで製品が200台増えるのですから、1台の原価は4万円に下がります。
当然、販売管理費も利益もそれに応じて下がりますので、調達した部品の数量分製造すると、こちらの販売価格は

4万円+販売管理費4,000円+利益18,000円=62,000円

まで安くなるのです。

低価格のパソコンの問題は、故障したときに部品の切れている可能性が、非常に高くなることです。この例はちょっと極端ですが、海外系の低価格パソコンは故障するとまず部品が無い・・・という可能性が高くなります。私も修理の仕事を長年やっておりますが、このところの製品の部品切れの速さは異常です。それだけコストを削るところが無くなってしまったのでしょうけれど、安いとは言えパソコンを買った人はそんな事情は知る由もないので、「何で買ったばかりの製品の部品が無いんだ!!」とクレームになるのです。

L社やH社、A社の製品を買うと、実際修理も遅いのですが、買ったばかりなのに部品切れで修理に2か月かかったとかいう話も珍しい事ではありません。むしろ、すぐ修理から帰って来たらそれはものすごく運が良い・・・と言えるほどです。極端な例を挙げると、ダイレクト販売で有名なD社は、「うちはメーカー保証期間が切れたあとの部品は元々保有していない」とサポートの責任者が言い切るぐらいですから、安価な製品は部品切れのリスクと天秤にかけながら購入するほうが、良いと思うのです。

でも、それって当たり前なのですよ。買った時に「安価な製品」という果実を手にしている訳ですから、故障したときに部品切れが多いと言うリスクは、最初から想定すべきです。無論故障なく過ごすこともあるでしょうけれど、パソコンとはいえ機械ですから壊れることがあるのは当たり前なんですよね。

もし、故障した場合の修理のことも考えて時間のかからない製品が欲しいということでしたら、国産のNEC富士通ソニーの製品をお勧めします。元々のサポートの体制がしっかりしている事もありますが、先日のタイの水害などのような特殊事例がある場合は別ですが、部品の供給が潤沢な製品が多いので、製造後2年以内であれば部品切れということもほとんどありませんから。

いずれにせよ、安い価格にはそれなりに理由がある・・・そんなお話でした。
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