タクシーの仕事をしていると、避けられないのがお客様との会話です。ただ運転だけすれば良い・・・という訳ではなく、接客業としての仕事も、良い営業成績をおさめるのには重要な役割を持っています。
先日、アメリカンエキスプレスの“プラチナカード”をご利用になるお客様に、ご乗車いただきました。
区間は「ワンメーター」でしたので、到着してから「クレジットカードで払います」と言われると、正直「勘弁」して欲しいお客様でした。ワンメーターも嫌ではないのですが、クレジットカードは清算に時間がかかるうえに手数料はドライバー負担ですから、かなり辛いのが正直な感想です。
でも、お預かりしたカードが、アメックスのプラチナ、しかもチタン製の重たいカードで驚きました。「こいつ、ただの酔っ払いじゃなかったのか・・・!」(笑)
お住まいから想定するに、どこかのベンチャー企業の創業者なのでしょうね。なんで私がそう思ったかと言うと、ご乗車中にお客様が急にこんなことをおっしゃるのです。
「運転手さん、タクシーの運転手っぽくないよね?前は何の仕事をしていたの?」
私は手短に、以前は電子機器の営業をやっていて、そこから起業に失敗したことと、年齢から再就職が厳しかったことをお話ししました。
するとお客様が、
「そんなことないよ、私だってもう40代後半。あなたならまだまだ成功出来るはずです。」
ご乗車時間の短いやり取りで、何かを感じていただいたのでしょう。酔っていても、疲れていても、ほんの短時間で相手の「人となり」を見抜く眼力を持っているのでしょう。
こんな商売をやっているのは、正直「もう利用されること」に疲れてしまったからで、一人の能力で仕事が完結出来るタクシードライバーの仕事は、今の私の精神状態を良好に保つにはもってこいです。
それでも、こういうことをおっしゃっていただけるのは光栄なことです。
ご自身で経営をなさっておられる方には、似たようなことを何回も言われます。
でも、今私は破産して再起をしている途上ですので。
地道にタクシードライバーとしての仕事を全うしたいと思います。
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