幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

思い出話。

21日は、管理組合の委任していた弁護士と最後の打ち合わせがあって、久々に千葉まで足を伸ばしました。

千葉は、私がこれまでの社会人人生で、一番通勤していた期間が長い街です。

京成の千葉中央駅から、セントラルプラザのあったほうへまっすぐ進むと、以前勤めていた会社の入っていたビルがあります。

千葉中央駅周辺は、ダイエーの撤退やセントラルプラザの廃業・解体、そして旧十字屋跡地に出来たメディアバレーも廃業と、あまり活気のある街ではなくなってしまいました。
お昼を食べに入っていた店も、だいぶ無くなっていたり、お店が変わっていたりと、ずいぶん様変わりしていました。たった6年しか経っていないのに、街がさびれていくと、急激に変わるものなのでしょうか?
良く食べに入っていたお店で残っていたのは、葭川沿いにあるビルの1階の「楡」という名前の喫茶店と、千葉駅のC-oneという駅中のショッピングセンターにある「志ぐれ茶屋」の二つ。この二件が変わらなかったのは、ちょっと嬉しかったですね。


度々私のブログでも取り上げている消費者金融の話題ですが、消費者金融で社員だったのは、この時に勤めていた会社が最後です。それから派遣などで督促のコールの仕事をしたりとかはありましたけど。


ここの社長は、今でも尊敬しています。

私の働いていた会社を設立する前に、大手の消費者金融の、常務をやっていた人です。
そこを辞めて新しく作った会社に、この社長を慕って社員が集まりました。
そんな会社だったので、私としては仕事がやりにくい部分も多かったし、昇進とか待遇の点では、我慢せざるを得ない部分が多かったです。社長は自分を慕って来た、とか付き合いを重んじる人だったので、いわば“新参者”の私は何事も「順番待ち」の状態でした。昇進するのも、昇給するのも。
でも、自分で選んだ道ですし、私自身、この社長を信じて付いていこうと決めていた訳ですから、不満は無かったです。


この社長に一回だけ、大声で怒られたことがありました。

その頃は前の妻との離婚調停中で、しばらく父子家庭していました。でも、朝8時から夜9時までの勤務では、体が持たず2週間でギブアップ。
やむを得ず息子を実家に預けることにしました。

当時の上司(常務)には、妻が暴力を振るうこと(私にも息子にも)、養育拒否(ネグレクト)をしてること、浮気のこととか、かなり突っ込んだことまで相談していました。そうやって周囲の、会社の理解がなければ男手一つで小さな子供の世話をするのは不可能でしたし、またそういった相談の出来る上司でした。

息子を実家に連れて行く前にも、「息子と離れたらお前も寂しいだろう。うちで預かってやってもいいぞ」とまで言ってくれましたが、やっぱりそこまで迷惑かけるのも気が引けましたので休みをもらって実家へ連れて帰りました。

でも、私が仕事の為に千葉へ帰ろうとしたとき、息子に大泣きされて、ぐずられました。「僕はママは居なくてもいいけど、パパ無しじゃいられないんだ」って言われてしまった。

その瞬間に、私の“サラリーマン”としてのネジが、ポーンと外れてしまいました。
「もう、会社なんて、仕事なんてどうでも良い」って思ったんですね。

次の日、上司に「もう、会社出られません。辞めさせてください。息子と離れたくないんです」と電話しました。なんて身勝手な話でしょう。
こんな勝手なことをいきなり話してるのに、全部、黙って聞いててくれました。「分かった、またお前が落ち着いたら連絡くれよ」とだけ言って。


落ち着いてきたら、私もさすがに途中で我に返って、翌日に会社に戻りました。

上司は、私を信頼していてくれました。
「お前は、いい加減なことはしない奴だ」って。

同時に、社長にも全部報告していてくれたんです。
出社してすぐ、謝罪と言い訳をしようとした私を遮って、上司は私にこう言いました。
「社長がお前の事心配してる。すぐに行って、謝って来い」と。


社長の所に行ったら、いきなり怒鳴られました。社長に大声で叱られたのは、後にも先にもこれが初めてでした。でも当然です。部下のいる管理職がいきなり職場放棄ですから、クビになったっておかしくないです、本当は。


「馬鹿野郎!半端してるんじゃねえよ。お前を頼りにしてる社員が何人いると思ってるんだ!目を覚ませ!」


こう怒鳴られて、すごく嬉しかった。

本気で叱ってくれてるのが、分かるんです。
感情というか、気持ちが伝わってくる。


そんなこと、思い出してなんだか暖かい気持ちになって、ちょっと時間も早かったのであたりをブラブラと歩きました。
夕暮れの千葉の街並み、この千葉中央駅あたりは緑も比較的残されていて、街灯も整備されていますから、綺麗ですね。
ここで働いていた時の自分と、今の自分と・・・なんだか、自分の周りに流れていった時間が、夢でも見ていたのかと、思えてしまいました。手を伸ばせばすぐに届きそうなところに、私の記憶の中の世界があるように思えたので。
そんな優しさに包まれた、夕暮れでした。