幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

父の姿。

皆さんは、「父親」と聞いてイメージすることは、ありますか?

日本も核家族社会(単一世代または直接の親子のみで構成される世帯)と言われ久しく、家庭における父親の役割というのも、私の子供時代の昭和40年頃とは、大きく変わっています。

普通に考えれば、男性であれば成長し結婚し子供を授かることが出来れば、誰しも「父親」になる訳ですが、誰でもその立場になることは出来こそすれ、「父親」の役割をきっちり理解し、果たしている方は、少ないんじゃないでしょうか?私も含めて。

一般的には男性が父親になるときに、手本とし習おうとするのは自分の父親だと思います。ただ私は、実の父との関係が良くなかったこともあり、また実際問題としてあまり手本に出来るような父親でもなかったので、私にとっての父親の“お手本”は、故郷の能登の実家の近くに住む母の兄、つまり伯父でした。

その私にとって「父親」そのものとも言える伯父が、今年(2016年)4月に、帰らぬ人となりました。私の実の父からメールで伯父の死の一報をもらった時、頭が真っ白になりました。ここ数年体調不良が続き、特にここ1年近くは外出も出来なくなるほどに、伯父は弱ってしまっておりましたが、何故か「きっとまだ元気で居てくれるだろう」と、勝手に理解してしまい、この年の正月の帰省を見送ってしまったことが、悔やまれました。

幸い今年に入り大手の会社へ転職していましたので、出番の調整も出来、告別式には何とか間に合いそうなので、私はクルマを飛ばして一路能登を目指しました。

葬儀では、故人を偲ぶ映像として、これまでの写真を順にビデオとして流してくれました。その中で、私も一緒に連れて行ってもらった甲子園球場での写真もありました。私が高校3年生になる前の春休み、実家に久しぶりに帰省した時に伯父に「甲子園へ選抜高校野球観に行かんか?」と、誘われたのです。

 私は弟と二人で、伯父の運転するワゴン車に伯父の家族と一緒に乗り込み、奈良大和路と大阪へ向かいました。

 

甲子園球場での観戦中、私たちの前に座っていた女性2名に、後ろから吐いて飛ばされたガムがついてしまうという、「事件」が発生しました。私はこんな人の多いところでガムを平気で吐き捨てる感覚が許せず怒りに震えていましたが、隣に座っていた伯父は、もっとすごかった。大声でガムを吐いた人間が居ると思われる方を向いてこう怒鳴ったのです。

 

「誰やこんな悪いことするがは!!ここへ出でこ!!(こっちへ出てこい)」

 

その剣幕に驚いた二人の若い男性が、その場から逃げるように立ち去って行く姿が、はっきりと分かりました。

 

いつどんな状況でも、とっさに「良いことは良い、悪いことはダメ」ということがはっきり口に出して出来行動できる、そしてそれが決してぶれることがない伯父は、私にとって本当に「父親」のお手本でした。

私は、両親がそろっているのなら、父親は規範、母親は愛情を子供にしっかり伝えることが大切だと、考えております。そのことが子供にしっかりとした規範意識を身に付けさせ、人にやさしさをもって接することが出来る大人となる基盤を作ると、考えるからです。

私は、結構やんちゃでわがままでしたので、伯父のところの兄弟二人と一緒に遊ぶときなど、しかられることもしょっちゅうでしたが、私は伯父を怖いと思ったことは一度もありませんでした。伯父の「叱る」には、いつも愛情が根底にあるのを、私には理解出来たからです。私が決してやってはいけないこと、間違ったことをすれば全身全力で怒りを表してくれます。伯父には、本当に感謝しかありません。

 
私が、会社の経営に失敗しタクシー運転手となることを決意したのも、伯父がその仕事を生業としていたことが、大きな理由です。才能がありながら家を守ることを背負わされ、田舎に「封印」されたまま3人の子供を皆東京の大学へ進ませた伯父が、家族を守るために選んだ仕事だから。


タクシーの仕事は、見た目以上に精神的にはきつい仕事です。流しで選ぶ道を間違えればお客様には出会えません。給料はすべて自分の売上次第です。黙って会社に出勤すれば給料が出るほど甘くない。ご乗車位置から、目的地を伺った時点で瞬時に経路と時間、最短コースを判断しなくてはなりません。色々な方が乗って来られます。気の良い人ばかりではありません。すぐ怒鳴る人、騒ぐ人、どんな人にも苦情となることがないよう、臨機応変に心地よい対応をしなくてはなりません。

 

一人深夜の運転席で、売り上げの上がらないプレッシャーに耐える時も、疲労の極限で眠気と闘いながら運転している時も、傍で伯父が見守ってくれていると感じながら、「無事帰るぞ、目標はやり遂げるぞ」と諦めず粘ることが出来るのは、私に父の姿を見せてくれた、伯父の後姿があればこそです。

本当は亡くなる前に、一度で良いから私のタクシーに、乗ってもらいたかった・・・。


これからも、見守っていてください。

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