幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

是非。

夏の高校野球、各都道府県の決勝戦もほぼ終わり、代表校が揃いつつありますが、ある投手の起用法が話題を呼んでいます。

“高校BIG4”などと、勝手な名前をマスコミがつけていますが、その一角とされ、4人の中でも最もプロでの期待が大きいとされている岩手県大船渡高校の、佐々木朗希君。
大船渡高校の国保監督は決勝戦花巻東高校戦の登板を回避し、佐々木君は登板機会を持つことなく、大船渡高校は敗戦してしまいました。

国保監督は自分の判断で佐々木君の故障を回避する為に登板させなかったとのこと。

もちろん佐々木君とのコミュニケーションもとった上での判断ということですが、これを英断と評価する人と、いや投げさせるべきだったという方と、評価が分かれています。

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国保監督の判断を評価する方々は、高校野球の過密日程と合わせて、どうしても選手に負担をかけてしまう実情への批判として、この判断を評価しているように見えますが、私は高校野球の過密日程と投手の投げ過ぎ問題は分けて考える必要があると思います。

確かに、高校野球、しかも資金力で素質ある生徒を集めることが出来ない公立校は特に一人の選手の素質に頼ってのゲーム展開となりがちです。昨年の秋田県金足農がそうでしょう。金足農エースの吉田君は甲子園の決勝戦まで11試合をほぼ一人で投げ抜き、1517球を投じました。最後のほうは見ていても明らかに疲労の色が顕著で、それでも投げさせるのは酷ではないかと誰の目でもそう感じるほどの連投でした。

今回の大船渡・佐々木君の登板回避については、国保監督は「本人とも話をして納得して決めた」と話しているようですが、監督と選手(生徒)の立場で、監督から言われたことに「嫌だ」と言える生徒がどのくらいいるでしょうか?

佐々木君がプロ志望であるから、ここで無理をさせて夢を奪ってはいけないとの判断もあるのでしょうが、野球は一人でプレーするスポーツではありません。佐々木君を先発させ、ナインに対し「佐々木に楽をさせてやろう!」と鼓舞することも出来たのではないでしょうか?私は花巻東との試合が一方的になったので、余計にそう感じてしまいました。戦う前から選手が「佐々木が投げないんじゃ無理だよ」という思いがあったんじゃないか、と。

 

確かに現場での判断は尊重されるべきです。監督と選手が納得づくですべての思いを吐露した上での判断ならば。選手は監督に言われて「今までの恩義もあるし監督のいうことだから」と従ったのなら、今回の国保監督の「判断」は、私はこの人の売名行為にしか見えないのです。ここで問題提起することで、高校野球の投手起用に一石を投じるという考えもあったかも知れません。それでも、その年その年の3年生はその1年限り、高校野球はその場限りであることを考えると、私には国保監督のこの判断が英断だとはとても言えません。佐々木君が決勝戦まですべてを投げ抜き、登板過多になっているならともかく、予選でも連投はなく投球数もかなり少なめで終えて来ていたからです。

智弁和歌山高校元監督の高嶋さんもおっしゃっておられましたが、「この程度で故障するなら、プロでも通用しない」のです。連投しつつ、その中で自分をセーブし、かつ場面場面に応じたパフォーマンスを出して戦局を乗り切る、そういった経験を積むことが出来るのが高校野球の舞台です。

 

猛暑の中、過密日程で連戦になることは、やはり夏の気候が酷暑になっている現状ですからこれから考えて直していかなければならない、高校野球の課題です。しかし、登板間隔を過度に開けて故障を回避するという考えは、的外れに思えます。その過酷な日程の中でも自分のパフォーマンスを最大限に発揮し、なおかつ自分の「経験値」を高めていくチャンスでもあるのが、現在の高校野球の仕組みです。そうして多くの才能ある選手が故障することなくプロへ行っても活躍している現状を、国保監督はどう説明するのでしょうか?

佐々木君がもしプロ志望でどこかの球団へ入団したとしても、高校時代にこういった経験を乗り切っていない以上は、プロで壁に当たった時にそれを乗り越える「経験値」が、圧倒的に不足してしまうのではないかと、心配してしまいます。

国保監督には、選手の登板機会を奪うことより、負担をかけずに最大限チャレンジ出来る環境を整えて欲しかった・・・そう思います。


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