幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

無念。

出資法の上限金利引下げの厳しさは、業界を離れてしまった今では、私は実感としてあまり感じる機会はないのですが、一人の社員の退職のことを知り、やはり、現実の厳しさを痛感しました。



以前、私が消費者金融関連の最後の仕事をしていたその会社も、この春から新規・追加一切の融資を取りやめており、審査部門のスタッフは派遣社員を除いて金融以外の部門へ異動となっていたそうです。

この会社で私は、契約社員として当初は回収業務に当たっていました。その後は商品企画などのマーケティング部門、そして融資受付のコールセンターの管理、最後には審査部門を担当しておりました。

私が退職した理由は簡単です。いつまで経っても社員にはなれない(この会社の規定上、職歴が3つ以上ある場合は正社員には登用されない)ので、他から声がかかれば辞めようと思っておりましたので、貸金業には未練がありましたが、生活には換えられなかったのです。

最後の審査部門では、退職が決まってから私の持つノウハウを、ひとりの女性社員に叩き込みました。
この女性は、とても勘がよかったんですね。筋がいい、というか、この人は貸せる・貸せないの判断が素早くて思い切りが良かったのです。

審査では、うじうじと細かいことに気を取られ判断が遅れれば、急いでいるお客様のお役に立つことは出来ませんし、また融資した後のお客様の返済意欲にも影響が出ます。
すぐにお返事出来ない・・・ということは「どうせ私は他社利用が多いから、お宅でもぎりぎりなんでしょう」・・・と、お客様の自尊心を傷つけること請け合いです。ですから、彼女のように判断が迅速に出来ることは、貸付の担当者として非常に重要な素質なのです。

私から彼女への引継は、

①新規融資・追加融資の際の電話での応対での注意事項
②個人信用情報の読み方(JDBの情報の読み取り方)
③本人からの申告の嘘の見破り方
④申込書記載事項の真偽判定テクニック
⑤身分証明書の偽造の見破り方

などのポイントをマニュアルにまとめて、マニュアルでは表現しきれない「勘所」の部分については、実際のお客様からの申し込みを使ってマンツーマンで教え込みました。

彼女は知識の吸収にも貪欲で、私の教えることをどんどん吸収してくれました。最初は「私はとてもまーきん。さんの代わりなんて出来ない」と言っていたのですが、私が在職している期間で何とか、全ての内容を一通り覚えてくれました。

その彼女が、退職してしまうのです。せっかく身に着けたノウハウも、融資を止めてしまっている現状では何の役にも立ちませんから、止むを得ません。

しかし残念です。貸金業を好きになれなくても良いのです。この仕事で本当にお客様のお役に立てたときの充実感を知ってくれれば。それをきちんと理解してくれて、私のノウハウもちゃんと受け継いでくれていたのに・・・と思うと、残念でなりません。

こんな状況になった元凶を作り出した国会議員やお役人の方々にお聞きしたい。そんなに、貸金業は卑しい商売ですか?人様にお金を貸して、その対価として金利を40パーセントもいただくことは、犯罪なのですか?

私は、日本は「資本主義」だと思っていましたが、実は「官僚主義」の間違いなのですね。お偉いお役人様に盾突く貸金業者は目障りなのでしょう。私たち貸金業者がお客様からいただく金利は、スピーディにご利用いただくことのリスクと、簡易に審査することのリスクの対価なのですよ。何せご融資したお金が100%回収できる保証なんて、どこにもないのですから。