幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

努力のない奇跡はない。

2007年の夏の高校野球選手権大会は、佐賀県佐賀北高校の優勝で幕を閉じました。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/hs/07summer/live/221_etc.htm(試合結果)

開幕試合を戦ったチームの優勝というと、私はあまり記憶にないのですが、13年前の佐賀商業の優勝が開幕戦を勝利したチームだったですね。息子の生まれた年で非常に印象が強かったので、今年もひょっとして佐賀北が優勝するかも・・・などと考えては見ましたけど、まさか本当に優勝してしまうとは、1回戦を終えた時点では想像も付きませんでした。

今大会の佐賀北高校は、本当に勝負強かったですね。宇治山田商業戦では延長引き分け再試合も戦い、帝京戦ではまたまた延長13回を戦うなど、決勝も含め73イニングを奇跡的な勝負強さで勝ち上がり、優勝旗を勝ち取りました。今日の試合でも甲子園全体が佐賀北高校判官びいきのようでしたが、やはり観客も、普通の県立高校が勝ちあがって行く様に共感を覚え、奇跡とか夢のような展開を願っているんじゃないかと、そんなことを感じました。

でも、佐賀北高校の優勝は決して奇跡などでは無いと思います。確かに、最後は野球の神様が味方してくれたような勝ち方が続きましたが、勝利を掴むにはやはり努力が根底にあると、思います。

最終回の広陵の攻撃で、送りバントの隙を見てサードを狙ったランナーを、冷静にサードへ送球してアウトにしたプレーに象徴されるように、選手たちは自ら状況判断を行い、堅実・確実なプレーできっちりと仕事をしました。これは地道な基礎練習の賜物と言えるでしょう。バントを処理した一塁手が、ランナーがサードへ行くことも想定して送球せずにタッチしてアウトにしたからこそ、サードへのランナーを刺せたのです。浮ついた実践練習ばかりでは、とっさの時に手元が覚束なかったり、焦って暴投したり、という結果を招きます。

チーム全体を見れば全員小柄で、はっきり言ってプロ入り出来るほど抜きん出た選手がいる訳でもありません。それでもそんな佐賀北高校が優勝出来たのは、野球がチームの競技であることの再認識をさせてくれたように、思います。佐賀北のナインは、どんな時にも、自分の出来ることに自信をもって集中していたことがプレーの冷静さにつながり、ピンチでは最低限の失点に押さえ、チャンスは確実にモノにすることが出来ました。これは奇跡ではなく、やはり努力の成果だと、思うのです。

 追補:広陵・中井監督の審判批判問題でのコメントが多くなりましたので、8回裏についての私の見解を補足させていただきます。

8回の広陵の野村君は、ワンアウト後に得意のスライダーを連打され、明らかに自分を見失っていましたね。広陵の中井監督を含め、微妙な判定の“運命の一球”で流れを変えたように言う方が多いですが、布石はその前に得意のスライダーを連打されたことと、その次の打者への、明らかに分かるスライダーの制球ミスでの四球にあるんです。

野村君のスライダーは見送られるとボールになるぐらいが効果的です。その微妙なコースを球のキレで打者に振らせていましたが、あの8回にはやはり疲労の為でしょうか、それだけのキレがなかったと言うことだと、私は思うのです。ある意味、打者に見送られた(手が出なかったのだとは思いますが)時点で勝負は決していたように、思います。

ただ、そうは言ってもあれだけ良く制球されたスライダーを投げる投手の失投を、副島君は逃さず良く捉えたと思います。普通はあれだけのボールのイメージがあると、頭の中で「打てっこない」と決めてしまう子が多いのですが、それでも諦めずに食らいついていった結果が、満塁ホームランに繋がったのでしょうね。

 

今大会は、開催前に特待生の問題で高校野球のあり方そのものが問われた大会でもありました。そういった大会で、県立の、今まで甲子園で勝利したこともないようなチーム(しかも前年の佐賀県大会では初戦敗退しているチームです)が、総合力で優勝を勝ち取ると言うのも、何だか象徴的な出来事のように思います。

高校野球もスピードとパワーが全盛の時代で、佐賀北のようなチームがまた優勝出来る保証はどこにもありませんが、またこれからも、第二、第三の佐賀北高校のようなチームが登場してくることを、期待せずにはいられません。