幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

コンビニは悪者なのか?。

このところ、自治体レベルでコンビニへ深夜営業の自粛を求める動きが広まっています。コンビニの深夜営業を利用しない方で、自宅の照明も、人のいないところはパチパチ消して回っているような方には、深夜の街角で煌煌と灯っているコンビニの照明は、資源の無駄遣いの象徴のように見えるのかも知れません。

でもこれって、何か間違っていませんか?似非エコのムードに呑まれた、日本人お得意の「空気読みすぎ」で「物事の本質を見失って流される」ことの典型のように思います。本当にコンビニの深夜営業は資源の無駄遣いなのでしょうか?
洞爺湖サミットの開催年ということもあるのでしょうが、なんだかマスコミ・社会を挙げて“エコエコ怪獣”が幅を利かせているようで、私はちょっと危険な空気を感じてしまいます。


確かに、深夜まで明るく照明が点いているコンビニは、特にそれほどお客様の多くないお店であれば尚のこと、「エネルギーの無駄」に見えてしまうでしょう。
しかし、このコンビニ営業自粛要請は、それを唱える人たちによって、それによる効果についての議論も検証も行われていません。コンビニが営業自粛をすることによる地球温暖化防止の効果がどのくらいある・・・という具体的な論調を、私は見たことがありません。ただ単に魔女狩りの如く、コンビニの深夜の照明の明かりだけが無駄の象徴のように吊るしあげられ、深夜の営業自粛さえ求めればそれで良いや・・・ぐらいにしか考えていないように、私の目からは見えてしまいます。

実際に、コンビニ業界の排出する二酸化炭素の量は日本全体の0.2%に過ぎないと言います。更に、コンビニ深夜営業の自粛によって得られる効果は、その0.2%中の4%だそうです。つまりはコンビニの深夜営業を自粛して得られる二酸化炭素削減効果は、全体のたった0.009%に過ぎないそうです。(日本フランチャイズチェーン協会レポートより)

【出典・ロイター】http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32368420080620

その程度しか二酸化炭素排出量削減に効果がないと言われる深夜営業自粛ですが、それと引き換えとなる弊害はどのようなものがあるでしょう。


深夜営業に賛成か反対かは、人によってコンビニを使用する・しないという立場によっても異なるでしょうが、実際に深夜営業を全て止めると、下記のような”弊害”が想定されます。


1.営業時間の短縮により雇用機会を失う(失業する)人が多数発生する
(店舗勤務だけでなく、弁当の配送や製造を含めると130万人が失業するとのこと)

2.防犯上の拠点が失われる
この記事では、コンビニが「駆け込み寺」のように書かれているが、私はむしろ都市部では“コンビニの照明”によって暗い場所が少なくなっていることが、防犯上有用であると考えます。

3.深夜営業を止めて増える無駄
(1)商品配送を道路が渋滞する昼間にシフトせざるを得ず、その分無駄なエネルギーを消費することになる。
(2)営業を止めても冷蔵庫を止める訳ではない為、それほどの節電には繋がらない。


これらはコンビニ業界の方々の反論ですので、若干は自分の業界寄りの意見ではあると思いますが、それでも納得出来る方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?。
それに既に個人的にコンビニを深夜に利用する機会の多い方は、その便利さを享受してしまってますから急に「深夜は営業しません」と言われてしまうと辛いものがあるでしょうね。


“コンビニ深夜営業自粛”を唱える人たちは、この便利さを捨てなさい、それが地球の為です・・・という主張なのでしょう。で、あれば私の生まれた昭和30年代のような生活まで時間を戻して、エアコンも使わず、クルマも持たず、パソコンなんて勿論使わない、21時以降は照明を消して就寝・・・などと徹底出来れば、相当の二酸化炭素排出削減に繋がるでしょう。

でも、そんな生活を、今更現代の人がすることが出来るでしょうか?

それよりも、今の店舗の設備などの無駄を削る方法で、コンビニ深夜営業自粛と同等以上の効果が得られることを模索するほうが、より建設的な意見だと私は思うのです。省エネのエアコンに切り替えるとか、照明の効率をより高いものに切り替えるなどで得られる効果も、前述の単純な深夜営業廃止に匹敵するものがあるように、思うのです。


この「コンビニ深夜営業自粛」に合理的に反論しているコラムをご紹介します。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/ba/47/index.html

コンビニが現在の日本社会において占めるインフラ機能の大きさと、その店舗数・労働者数を考慮すれば、自治体の首脳の考える程度の近視眼的な発想で、深夜営業自粛へ舵を切ることがどれほど愚かしく、下らないことであるか、今一度この”深夜営業自粛”が広がる前に、考えなおして欲しいものです。