幕張の風

So-netブログ「From Makuhari~幕張の風」から移転しました。 仕事のこと、ニュースのこと、音楽のこと、野球はMarinesと高校野球中心に書きとどめたいことを書いて行こうと思います。

何が悪い?定額給付金

ダイヤモンド・オンラインの「週刊・上杉隆」というコラムで、定額給付金への反発を強める民主党自民党内の給付金反対勢力に対する、批判した内容のものが掲載されましたが、

誰だってもらえるものは嬉しい 定額給付金の国民への「還元」を妨げる愚
http://diamond.jp/series/uesugi/10060/?page=2

定額給付金に対する批判は、麻生政権に対する批判の象徴としてマスコミが先導して煽っているような状況下ですから、これに案の定、噛み付いた方は非常に多かったようですね。
コラムを執筆した上杉さんが、寄せられた多くの“反論”に対し答えるコラムが、15日に掲載されています。

それでもやらないよりはマシだ。定額給付金への反論に答える
http://diamond.jp/series/uesugi/10061/

私自身も、消費拡大政策のひとつとして、高額所得者層への消費拡大を狙うのであれば、定額給付金よりはむしろ消費税の定率減税のほうが効果的であると考えます。
しかし、これだけ消費マインドが冷え込んでいる現状で、高額所得者層も消費税が下がったからと言って、どれだけ消費に貢献してくれるでしょうか?

住宅や自動車など、購入価格が大きく消費税減税効果の高いものなら、一定の消費拡大も見込めるでしょう。しかし、これでは本当に救済の必要な低所得者層にとっては、直接的には恩恵にあずかることが出来ないではありませんか?

そこへ行くと定額給付金であれば、すべての人にあまねく行き渡り、所得に左右されず平等に分配されますから、ちゃんとした「消費へ繋がる方法」で支給をされれば、消費拡大効果は一定のものが必ず見込めます。また一部でこの定額給付金の批判の的の一つとなっている高額所得者への対応についても、支払っている税金の負担率も考慮すれば(支払っている税金で差がついているので)、支給される額が一律であるならば一概に高額所得者が受給を辞退する必要も、無いのではないかとも考えます。

現在、マスコミを中心としてやたらと定額給付金への逆風が吹いている状況ですが、私はこの定額給付金の実施に反対するよりも、給付の方法と使用制限をきっちりと設け、支給したものが一定期間内に消費に回るよう考えることが、今の国会で一番必要なことではないかと考えます。

自民党の渡辺議員の造反のように、この定額給付金に反対する政治家は、どうも「国民の声」を楯に反旗を翻すだけで義士を気取っているようで、腹立たしく思います。本当に国民のことを思うなら、その場の「風」に流されない確固たる信念を持って、国民の反対があっても押し切るべきではないですか?
今、必要なのは政権争いではなくて、冷え込んだ内需を少しでも押し上げることではないですか?

ここで、現状の消費拡大に一定の効果があると私も考える消費税定率減税と、定額給付金の「国民への影響と効果」について、試算をしてみました。

定額給付と定率消費税減税の比較試算

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生活保護世帯は、以下のリンクを元に試算(夫婦子供1人)
http://www.seiho110.org/seido/no1.htm

この試算はやや乱暴ではありますが、可処分所得が多いほど、消費税定額減税の恩恵にあずかると言えるでしょう。それでも、2%も消費税率を下げたとしても、1ヶ月間でこの程度の減税効果しか見込めないのです。
現在最も必要なのは内需拡大へのカンフル剤ということであれば、減税額がそのまま内需拡大に結びつくとは思えない消費税定率減税よりも、定額給付金のほうが低所得世帯まできっちり「恩恵」が行き届くことになるとは思いませんか?。
上記の試算の両世帯に平等に金額が配分され、同じように支出に回るように施策を実施するならば、消費税定額減税よりも定額給付金のほうが効果的であることは、一目瞭然ではないですか?また消費税が下がったからといって、消費拡大に繋がるとは、この冷え込んだ消費マインドの中ではその効果ははっきり言ってゼロに等しいのではないかと、私は思います。

ちなみに、イギリスでは緊急消費拡大対策として、付加価値税減税が実施されましたが(こちらの国の決定は実に迅速ですね)、消費拡大にはまったく繋がりませんでした。

http://www.2nn.jp/bizplus/1231911543/


また、定額給付金への批判の一つに、定額給付金の支給に必要な800億ほどの“費用”がありますが、何か新しい施策の実施や通達には、費用がかかることは当然です。他の内需拡大策を比較して高い安い論ずるなら分かりますが、これを持ってこの施策を無駄かどうかを評価するには、いかにも拙速な議論ではないですか?

更には民主党から、定額給付金の原資を雇用対策や社会保障に使うべきとの主張が聞こえて来ますが、いったいどうやって消費拡大に繋がる使途があるというのでしょう?雇用対策や社会保障などは、聞こえはいいですが「ハイ、どうぞ」とお金を払っただけでどうにかなるものではありません。2兆8百億円を使って、新しく道路を作ったり箱物を立てたりするつもりなのでしょうか?内需拡大に待ったなしの状況下で、具体的かつ効果的な対案も示さずにただ批判する姿は、自民党よりはるかに醜いものに見えるのは私だけでしょうか?

こういった具体的議論なしに、「国民の大多数が反対」する定額給付金を阻止することは、そんなに良いことなのか民主党の方々には聞いてみたいですね。

誤解のないように申し上げますが、私はむしろ民主党支持者です。(本ブログを遡ってお読みいただけると、ご理解いただけると思います)それでも今の民主党のやり方はおかしい。政権奪取だけが目的で、“国民を守る”具体的なロードマップを何一つ提示出来ていません。

私は、今は麻生さんの愚直なまでの“節操のなさ”に共感します。私が見るに麻生さんは「無私」の人ですね。これは私利私欲がないということではなく、「自分の主張がない」という意味での「無私」です。よく言えば周囲の意見に耳を傾ける人と言えるでしょうし、悪く言うとリーダーシップが欠如している人とも言えるでしょう。

高額所得者はもらうなと言ってみたり、判断に委ねると言ってみたりと変化するのは、その時々に風を読んでいる結果ではないかと思います。

しかし、今は風を読んでいる場合ではありません。日本では、風を読んでまともな政策が行われた例がありません。出資法貸金業規制法の金利引き下げや建築関連での確認申請手続きの変更など、枚挙に暇がありません。

今、この定額給付金制度の件で最も問題なのは、こんな問題を去年の暮れからまだ解決も出来ずにもめている・・・ということだと思います。緊急の対策が必要な時に、党利党略のみしか念頭になく、駆け引きに明け暮れる自民・民主両党には、本当に辟易します。
ここは麻生さんも最後の胆力を振り絞って、定額給付金をやり抜くリーダーシップを見せて欲しいものです。