これは久しぶりに映画館で観たいな、と思ったのですが公開後に母が亡くなり、その後のあれこれで結局映画館へは観に行く機会を逸してしまいました。
有料の動画サービスでネット公開されるのを待っておりましたが、こちらで視聴可能になり、さっそく観てしまいました。
原作は魔夜峰央さんの漫画。しかし原作からこの映画の内容を予測するのは全く不可能(笑)完全に別物の作品に仕上がっています。
原作の内容はこちら。
公式サイトは、こちら。
テーマ(そんなものがあるのか疑問と言う向きもあるかも知れませんが)は単に首都圏でのマウンティング合戦かと思うと、さにあらず。“空前絶後のディスり合戦”との宣伝文句はありますが、観終わった後の感想は、むしろそんなところにはありません。
観ていて笑えないことはないですが、笑いだけがすべてではないですね、これ。GACKTさん演ずる麻実麗の、「何故、通行手形を失くしたいか?」との答えの言葉に、武内監督の本当の意図を観た気がしました。
とは言え「テルマエ・ロマエ」でも魅せた「適材適所」のキャスティングの妙と映像に仕組まれた数多くの小ネタにもいちいち洒落心が見え、単なる娯楽作品として軽く観られてしまうのが惜しい気もします。
通行手形に絡む裏金、そして利権をめぐる世襲など、今の日本に落とし込んでもおかしくないよな、って気になりませんか?虐げられるのはいつも下層に置かれる人だけ。価値観が「都会である」ことのみの偏った社会の生き辛さ。現実には日本人はどんな圧政の下でもそれに「見て見ぬふり」で無関心を決め込むのが関の山でしょうが、この映画の世界のように誇りを持って勝ち取ることが出来れば、どんなに良い社会になるでしょう。
単なるディスり合戦でもなく、バラエティでもない。本当の「お笑い」は風刺の中に生きるものだなと、再認識しました。
壮大な「茶番劇」は、お互いに戦うフリをした埼玉・千葉それぞれの開放戦線。茶番を演じつつ"本丸"に攻め込むシーンは、出身地対決などネタもぶち込んで来ているものの、自らの大切に思うものの為に巨悪に挑むヒーローもののそれです。
首都圏にお住まいの方だけでなく、埼玉や千葉、東京に住んでいる人だけでもなく、どこに住んでいても変わりません。それぞれにご覧になった感想が生まれてくると思います。
まだご覧になられてない方は、ぜひ。